研究課題/領域番号 |
20K07113
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
田中 直伸 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (40455598)
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研究分担者 |
柏田 良樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (30169429)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | カバノアナタケ / ヒト頭髪毛乳頭細胞 / トリテルペン / 発毛・育毛剤 |
研究実績の概要 |
本研究では、カバノアナタケ菌核を素材とした新しい発毛・育毛剤の開発を目指して、含有成分であるトリテルペンとステロールの構造活性相関の検討により、活性発現に最適な化学構造を明らかにすることを目的とする。 研究代表者等はこれまでに、天然素材・カバノアナタケ(タバコウロコタケ科のキノコ)の菌核にヒト頭髪毛乳頭細胞の増殖促進活性を見い出し、その抽出物に含有される5種のトリテルペンが、同増殖促進活性に関与することを明らかにしている。この際、上述のトリテルペンに加えて複数のトリテルペンとステロールが同増殖促進活性を示す可能性が示唆された。本研究では、国内外のカバノアナタケ菌核を入手し、それらに含有されるヒト頭髪毛乳頭細胞の増殖促進活性を示すトリテルペンとステロールについて、詳細な成分探索を実施するとともに、他の素材に含有されるテルペノイドの確保も行いヒト頭髪毛乳頭細胞の増殖促進活性の有無について検討する。 本年度は、カバノアナタケ菌核からのトリテルペンおよびステロールの抽出と分離条件の検討を行った。カバノアナタケ菌核の含有成分としてはトリテルペンやステロールに加えて多糖類等が知られているが、トリテルペンやステロール類を効率よく抽出できる条件を種々検討し、最適化した。最適化した条件のもと、ロシア産カバノアナタケ菌核の抽出を行ったのち、溶媒間分配によりトリテルペンとステロールを含有する粗画分を作成した。 本粗画分には、これまでにヒト頭髪毛乳頭細胞に対して増殖促進活性を示すことが明らかになっているトリテルペンが含有されているが、クロマト分画によりさらなる活性化合物の成分探索を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カバノアナタケ菌核に含有するトリテルペンおよびステロールの抽出条件を最適化した。カバノアナタケ菌核の含有成分としてはトリテルペンやステロールに加えて多糖類等が知られている。 今年度は、ロシア産カバノアナタケ菌核を素材としてトリテルペンやステロール類を効率よく抽出できる種々条件を予備検討し、最適化した。最適化した条件のもと、ロシア産カバノアナタケ菌核60kgの抽出を行ったのち、溶媒間分配によりトリテルペンとステロールを含有する粗画分を作成した。 本粗画分には、これまでにヒト頭髪毛乳頭細胞に対して増殖促進活性を示すことが明らかになっているトリテルペンが含有されているが、クロマト分画によりさらなる活性化合物の成分探索を行った。 一方、新型コロナ感染拡大の影響で国内におけるカバノアナタケ菌核の確保が困難であったため、次年度以降再度実施する。
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今後の研究の推進方策 |
ロシア産カバノアナタケ菌核60 kgから作成したトリテルペンおよびステロイド含有粗画分のクロマト分離・精製を進め、トリテルペンとステロイドを単離する。この際、ヒト毛乳頭細胞増殖活性の評価の実施や構造活性相関の検討に十分な量を確保する。 単離したトリテルペンおよびステロイドについて、NMRスペクトル等の各種スペクトル解析による同定を行う。新規化合物が得られた場合は、上記NMRスペクトルの解析に加え、ECD解析やX線結晶構造解析、あるいは化学誘導等により絶対立体配置を含めた化学構造の決定を行う。同時に、国産カバノアナタケ菌核の確保を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 使用機器や消耗品の工夫(機器共同利用など)と新型コロナ感染拡大下における採集のための移動制限により、使用額に差が生じた。 (使用計画) 研究材料の採集のための旅費、ならびに消耗品とし、円滑に研究を推進する。
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