研究課題/領域番号 |
20K07114
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
田中 淳一 琉球大学, 理学部, 教授 (20163529)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | テルペノイド / 海綿 / ソフトコーラル |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、沖縄本島沿岸に生息して、これまでの調査によりテルペノイド(またはメロテルペノイド)を含むことが判明している海綿を中心に研究対象として採集した。生きた試料を直ちに実験室に持ち帰り、人工海水による前処理、ブレンダーあるいは乳鉢による破砕、RNAlaterや液体窒素による処理の有無、タンパク除去のCTABやSarkosylなどの試薬をできるだけ多く組み合わせて試し、メタゲノムDNAの抽出条件の検討を行った。得られたメタゲノムDNAの電気泳動での分離と濃度をチェックした結果、種類と条件によっては比較的長めのメタゲノムDNAを得ることができた一方で、様々な方法を試みたにもかかわらず、あまり長いメタゲノムDNAがとれない種類もあった。この違いの原因は不明だが、海綿の種類と組織の性状によってかなり異なり、各海綿に合った方法を選択する必要があると予想された。 それぞれの試料から組織の一部をとり、SEM-EDSによる観察を行って、バクテリア様の生物が共存していないか検討したが、これまでのところ、どの海綿からも海綿組織の表面と内部に独立栄養細菌を見いだせておらず、物質生産は海綿自体か細胞内に共生しているバクテリアと推定される。 一方、ソフトコーラル類についても、BriareumやXeniaなど、異なる環構造のジテルペンを含有している種類を中心に採集し、比較検討した。既存のキットを使用して生きたソフトコーラルからメタゲノムDNAを抽出し、得られたDNAを材料にPCR実験を行った。いくつか増幅できたものもあったが、まだテルペン環化酵素かどうかは、確認していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験を分担する学生がわずか1名で、教員も多忙だったため、試料の採集や実験を行う時間が限られていた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度なので、海綿およびソフトコーラルのメタゲノムDNAのいくつかをMiSeqによる解析に供し、共同研究者によるアセンブリなどを経て、テルペン生合成遺伝子の候補を見出す。 テルペン環化酵素のプライマーを使用したPCRを行い、増幅されたDNA断片を解析に送り、関連する遺伝子かどうか判断する。 報告されている遺伝子を利用して、該当遺伝子を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、実験を分担する大学院生の人件費を予定していた。しかし、当該学生が学内の奨学金を得られたため、この研究費で雇用しなくてもよくなったため。 令和4年度は、実験に使用する消耗品の購入、解析料金、上記の大学院生の雇用(半年)でほぼ全額を使用する計画である。
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