研究課題/領域番号 |
20K07117
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
小野 政輝 東海大学, 農学部, 教授 (60177269)
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研究分担者 |
安田 伸 東海大学, 農学部, 教授 (10512923)
周 建融 崇城大学, 薬学部, 講師 (30454953)
木下 英樹 東海大学, 農学部, 准教授 (50533288)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヒルガオ科植物 / 樹脂配糖体 / ヒルガオ / ハリアサガオ / 化学構造 / 乳酸菌 / ビフィズス菌 / 抗菌活性 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、ヒルガオ科植物に含有される樹脂配糖体を先導化合物とする瀉下剤開発のための基礎研究を目的としているが、今年度は下記の研究実績を得た。 1.ヒルガオ(Calystegia japonica Choisy)の茎と葉の構成配糖酸として新たに4種をメチルエステル体として単離し、それらの構造を各種NMRスペクトルと質量分析データならびに化学反応を用いて決定した。これらのうち、3種は奇数脂肪酸のメチルエステルをアグリコンとする珍しい配糖体であった。 2.ハリアサガオ(Ipomoea muricata (L.) Jacq.)の種子から新たにmuricatin XIIとXIIIと命名した2種の新規真性樹脂配糖体を3種の既知樹脂配糖体と共に単離し、構造を明らかにした。両化合物は、それぞれmuricatic acid EとFと命名した新配糖酸を有し、分子内大環状構造を有するヤラピンに分類された。 3.樹脂配糖体の腸内細菌叢に対する影響を調べるために牽牛子の樹脂配糖体画分(pharbitin)、pharbitinをアルカリ加水分解して生成した配糖酸画分、この配糖酸画分を酸加水分解して生成したオキシ脂肪酸画分を用いてペニシリンカップ法による乳酸菌とビフィズス菌21菌株に対する抗菌活性試験を行った。PharbitinはLactobacillus helveticus 、Lactobacillus acidophius 、Bifidobacterium breve およびBifidobacterium longum subsp. infantisに対して抗菌活性を示した。また、Pharbitinの配糖酸画分はBifidobacterium longum subsp. infantisに対してのみ抗菌活性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、ハリアサガオ種子の樹脂配糖体に関して、構成有機酸のnilic acidの絶対配置の修正、3種の既知配糖酸と1種の新規配糖酸の単離、構造決定、ならびに2種の新規配糖酸をもつ化合物を含む4種の新規ヤラピンの単離、構造決定を行った。また、コヒルガオ根茎より10種の新規ヤラピンを単離、構造決定した。さらに、ヒルガオの構成有機酸と構成配糖酸の研究を行い、2種の構成有機酸を明らかにするとともに、7種の新規を含む、8種の配糖酸をメチルエステル体として単離、構造決定した。一方、樹脂配糖体の生物活性に関して、ケンゴシの樹脂配糖体画分pharbitinのマウス大腸および回腸の蠕動運動に及ぼす影響をマグヌス法により検討し、結腸と回腸の緊張に異なる影響を及ぼすことを、明らかにした。さらに、樹脂配糖体画分とそれらの分解物のビフィズス菌と乳酸菌に対する影響を試験した。このように、新規樹脂配糖体の構造を明らかにするとともに、樹脂配糖体の大腸に与える影響についても、研究成果が出ている。
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今後の研究の推進方策 |
分離途上にあるハリアサガオ、コヒルガオ、マメアサガオおよび白花夕顔に含まれる樹脂配糖体を単離、構造決定する。また、本研究課題で単離、構造決定した化合物を含む、樹脂配糖体ライブラリーを用いたアクアポリン3に対する活性試験を行う。さらに、ハリアサガオより単離したヤラピンを用いたマウスの大腸の蠕動運動に及ぼす影響を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は概ね予定通りの使用額であった。また、次年度使用が生じた研究費(113,930円)は、物品費として主に、ガラス器具、試薬等の消耗品に使用する予定である。なお、1品又は1組若しくは1式の価格が50万円以上の物品の購入は予定していない。
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