東南アジアはマラリアや赤痢、腸チフスなど風土感染症だけでなく、近年、エイズや高病原性鳥インフルエンザなどの新興・再興感染症による患者数・死者数の増加が問題となっている。東南アジアでは、これら感染症に伝統医学を基とした治療が現在でも利用されている。しかしながら、東南アジア伝統医学の感染症に対する科学的な効果の検証はほとんどされていない。インドネシアやミャンマーなどで伝統医学で頻用されている生薬またはそれらエキスについて、抗ウイルス活性や抗菌活性などの生物活性試験を行った。その結果、これら東南アジア産薬用植物の中から数種活性を示した薬用植物を見出している。そこで、伝統医学に使われる東南アジア産薬用植物の効果の科学的根拠を立証・証明することを目的に、東南アジア産薬用植物の抗ウイルス活性の評価、各種クロマトグラフィーを 用いて活性成分の単離・精製および各種スペクトルを解析して化学構造の特定を進めている。また、それら化合物について生物活性の作用機序の詳細を解明する。
|