研究課題/領域番号 |
20K07119
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
荒木 良太 摂南大学, 薬学部, 講師 (90710682)
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研究分担者 |
矢部 武士 摂南大学, 薬学部, 教授 (40239835)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 漢方薬 / 腸内細菌 / 発達障害 |
研究実績の概要 |
昨年度の新型コロナウイルス対策の影響で、本年度はモデル作製に長期間を有する隔離飼育マウスを用いた実験を一時中断し、早期離乳マウスを用いた解析および新たな腸内細菌の異常に起因するモデルマウスの作製、およびin vitroの実験に取り組んだ。 早期離乳マウスでは成熟後に行動面において不安様行動といった異常行動を示すが、腸内細菌叢においては対照マウスと比べて腸内細菌叢のα多様性(Chao1 indexおよびShannon index)の有意な減少や腸内細菌叢の構成の変化を示すことが明らかとなった。こうした行動や腸内細菌叢の異常は、オリゴ糖などのプレバイオティクスにより改善したことから、幼少期の環境要因に起因する行動の異常は、腸内細菌叢の異常を介している可能性が考えられた。そこで、新たなモデルとして、幼少期において薬物により人為的に腸内細菌叢を攪乱したマウスを作製した。本マウスは成熟後に社会性の異常を示すことを見出しており、発達障害に対する漢方薬の作用を評価する上で有用なモデルである可能性が考えられた。 また、in vitroにおいて、セロトニン、ドパミンおよびノルアドレナリンのトランスポーターに対する各種漢方薬および構成生薬の作用を評価したところ、茯苓の成分がドパミントランスポーターを阻害することが明らかとなった。そこで、漢方薬がモノアミン神経系に与える影響に関しては、当初予定していたセロトニン神経系ではなくドパミン神経系を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の新型コロナウイルス感染症蔓延により、使用モデルの変更を行ったため。 しかしながら結果として、新たに有用と考えられるモデルの作製に成功したと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は新たに作製した幼少期に腸内細菌叢を攪乱したマウスを用いた解析とドパミン神経系への作用解析を中心に進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新たなモデル動物の作製など、研究計画の若干の見直しに伴い、使用研究費にずれが生じたため。 次年度に、新たなモデル動物を用いた解析を合わせて進める。
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