研究実績の概要 |
歯周病菌Porphyromonas gingivalis(以下、Pgと略)増殖抑制活性の観測されたカレーリーフの詳細な分離精製の結果、4種類のプレニル化四環カルバゾールアルカロイド(PTCA)として、mahanimbine (MB), mahanin, mahanimbicine, そして (±)-8-methoxymahanimbine(8MB)を単離した。MBのようにPTCAの芳香環に修飾基を有さないことがPgに対する抗菌活性に重要であることが明らかとなった。電界放出形走査電子顕微鏡観察により、MBはPgの菌体表面に「クレーター状構造」の穴を形成した。また、膜電位感受性色素DiOC2(3)を用いたFACS解析により、PTCAの中でも特にMBと8MMBは、グラム陰性菌の細胞質膜に対する強力な脱分極誘導活性を有することが明らかとなった。Pgを含むグラム陰性嫌気性細菌5種10株に対するMBの最小発育阻止濃度(MIC)を調べると、Pgの感受性が最も高かった (MIC, 8 μM)。以上より、カレーリーフやMBがPg特異的な抗菌療法として歯周病治療に応用できる可能性が示唆された。 飲食可能な抗糖化素材の探索の一環として、ノブドウ果実について活性化合物の同定を目的に成分研究を行った。抗CMA(Nε(carboxymethyl)arginine)抗体を用いたELISA法によるCMA生成阻害試験を指標に各種クロマトグラフィー(Sephadex LH-20、分取HPLC)を繰り返し精製し、7種の化合物を単離した。(-)-catechinはノブドウの特徴的成分である。また、quercetinラムノース配糖体が主要成分であった。Afzelinを除き、何れのサンプルも10μMの濃度でEK-Bと同等の活性を示した。今後、更なる成分の同定と活性本体の解明を進めていく予定である。
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