研究課題/領域番号 |
20K07125
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研究機関 | 公益財団法人結核予防会 結核研究所 |
研究代表者 |
瀧井 猛将 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 抗酸菌部, 主任研究員 (80244573)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 結核菌 / 細胞傷害 / 病原性 / 炎症性サイトカイン / 感染症 / RNAseq |
研究実績の概要 |
結核菌強毒株Mycobacterium tuberculosis H37Rvと種々のヒト由来細胞株を共培養すると生菌特異的に宿主細胞死が誘導される株(A549;肺上皮細胞、MRC-5;肺線維芽細胞)があることを見出している(J Interferon Cytokine Res., 2001)。この細胞死は生菌特的であることから、結核菌の病原性との関連が示唆された。 本年度は、細胞死が菌の取り込みと関係しているかを検証するために透過型電子顕微鏡による観察を行った。線維芽細胞は貪食細胞同様に菌を取り込むことが確認された。細胞死は感染2日目から観察されることから、本現象に関係する因子を探索するために、2日目における宿主と宿主内の菌の遺伝子発現を網羅的に解析した。Dual- RNAseqのGene Ontology (GO)解析において、菌では鉄取り込みや低酸素で誘導される遺伝子の発現が上昇していることから、菌が宿主内での生存を試みていることが示唆された。また、宿主では炎症性サイトカインのIL-6とIL-8の発現が上昇しており、感染宿主細胞でのRNA発現を測定したRNase Protection Assay、培養上清中のサイトカイン量をELISAで測定した結果と一致していた。炎症性サイトカインの産生を伴い、カスパーゼ1とNLRP3の阻害剤によって細胞死が阻害されることから、パイロトーシスによる細胞死が結核菌感染により誘導されることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Dual-RNAseq法での候補因子の絞り込みと検証に時間がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
Dual-RNAseq解析で得られた候補因子について、遺伝子欠損株やRNAi法等の手法により細胞傷害活性への関与を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
RNAseq解析の作業に時間を要しているため、次の解析に必要な試薬・物品の選定・購入費を次年度に繰り越した。上記の解析結果によっては比較対象の試料のRNAseq解析を行う。さらには、絞り込みを行った候補因子が実行因子であるかを検証するために必要な試薬・物品の購入に繰り越した予算を使用する予定である。
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