研究実績の概要 |
ヒト型結核菌Mycobacterium tuberculosis と種々のヒト由来細胞株を共培養すると生菌特異的に宿主細胞死が誘導される細胞株(A549;肺上皮細胞、MRC-5;肺線維芽細胞)があることを見出している(J Interferon Cytokine Res., 2001)。この細胞死は生菌特的であること、日和見感染を起こすトリ型結核菌M. aviumや結核ワクチン株であるM. bovis BCG菌では弱いことから抗酸菌の病原性との関連が示唆された。昨年度までに結核菌の取り込みについて透過型電子顕微鏡での観察から、菌の取り込みと細胞死は経時間的に一致していることを明らかにしている。また、細胞死に伴い、炎症性サイトカインであるIL-6, IL-8の産生が上昇していた。本年度は細胞死の経路について解析をおこなったところ、インフラソーム阻害剤MCC950とcaspase 1/4阻害剤のVX-765で阻害された。一方、別の細胞死の経路であるアポトーシスに関与するcaspase 3のPAC-1では阻害されなかったことから結核菌は線維芽細胞に対してパイロトーシスを生じさせていることが示唆された。
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