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2021 年度 実施状況報告書

がんゲノム薬理情報とTDMを活用した個別化薬物治療の実用化に向けた研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K07130
研究機関三重大学

研究代表者

岩本 卓也  三重大学, 医学部附属病院, 教授 (30447867)

研究分担者 中谷 中  三重大学, 医学部附属病院, 教授 (80237304)
齋藤 佳菜子  三重大学, 医学部附属病院, 講師 (90447871)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードPBPKモデル解析 / オラパリブ
研究実績の概要

文献またはインタビューフォームから、各薬物のclogP(オクタノール/水分配係数)、F(バイオアベイラビリティ)、fe(尿中未変化体排泄率)、fu,p(血漿タンパク非結合形分率)、Rb(血液-血漿中濃度比)、薬物血中濃度の情報を収集する。CLh,int(肝固有クリアランス)は肝血流量(体重より換算する固定値)より算出する。また、上記パラメータからCLtot(全身クリアランス)、CLr(腎クリアランス)、CLh,int(肝固有クリアランス)を計算する。次に残渣法によりV1(中心コンパートメント分布容積)、ka(吸収速度定数)、kel(消失速度定数)、k12(中心から末梢コンパートメントへの移行速度定数)、k21(末梢から中心コンパートメントへの移行速度定数)について初期値を算出し、コンパートモデル解析にて各種パラメータのフィッティングを行う。求めた各種パラメータをPBPKモデルに適用しフィッティングを行い、PBPKプロトタイプを作成してDDI Simulator V.2.6(富士通九州システムズ)に実装した。実装した薬剤は、エルロチニブ、レテルモビル、ミロガバリン、オラパリブ、バリシチニブ、アビラテロン、6-メルカプトプリンの7剤を登録した。また、2018年1月1日から2020年12月31日までに初めてオラパリブが投与された患者を対象に症例対照研究を実施した(附属病院倫理委員会H2021-184)。主要評価項目は、グレード3以上の貧血とした。対象患者40名のうち、18名がグレード3以上の貧血を発症した(発症日数中央値 66日)。そのうち、9名はRDW-SD値が高い大球性貧血(100<MCV:65fL vs MCV≦100:51fL, p=0.012)であった。特に、オラパリブ投与後91日目には、ベースラインと比較してMCVの有意な増加が観察された(p=0.017)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

7薬剤について、文献またはインタビューフォームからの薬物動態や物性パラメータからPBPKモデルを構築し、インタビューボームの体内動態との再現性がとれる結果を得た。加えて、オラパリブの貧血についての臨床研究を実施し、RDW-SD値が高い大球性貧血が起こりやすいことを明らかにした。本研究結果は、The 21st Asian Conference on Clinical Pharmacy 2022にて発表した。

今後の研究の推進方策

本年度については、チロシンキナーゼ阻害薬を中心に、PBPKプロトタイプを作成してDDI Simulator V.2.6(富士通九州システムズ)への実装を進める。また、「卵巣がん患者におけるPARP阻害薬による葉酸及びビタミンB12の変動に関する後ろ向き観察研究」(附属病院倫理委員会H2021-219)についても、症例をエントリーし、研究を進める。また、抗体医薬品の薬物血中濃度測定系については、2020年度にサンドイッチELISA法にて抗体医薬品であるセツキシマブ、免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブ、ペムブロリズマブについて測定系を構築した。しかしながら、測定時間が1日半かかり、1プレート1薬剤の測定となるため、非常に効率が悪い。本年度は、蛍光強度の異なる捕捉用ビーズ( Capture Beads)を用いたフローサイトメーターによる測定により、抗体医薬品の薬物血中濃度の同時測定系の構築を目指す。具体的には、Cature BeadsにAnti-Human IgGを結合させ、抗体医薬品の標的分子-抗体医薬品結合体をラベル化し、定量を行う。異なる蛍光強度のCature Beadsを用いることで、理論上は30種類の抗体医薬品を同時定量が可能となる。

次年度使用額が生じた理由

出張旅費、打ち合わせの費用等が不要となったため、また、コロナ禍において薬物血中濃度測定系の作成が少し遅れ、プラスチック消耗品の使用が少なかったため。
次年度には、フローサイトメーターを使用した抗体医薬品の測定系の構築に向けて試薬、プラスチック消耗品の使用が多くなることを見込んでいる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Investigation of Biomarkers and Handling Strategy of Erlotinib-Induced Skin Rash in Rats.2021

    • 著者名/発表者名
      Julian I, Iwamoto T.
    • 雑誌名

      Biol Pharm Bull.

      巻: 44(8) ページ: 1050-1059

    • DOI

      10.1248/bpb.b21-00112.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Drug-drug interaction between azathioprine and allopurinol in patients with chronic kidney disease: a case series study.2021

    • 著者名/発表者名
      Hirai T, Shiraishi C, Murata T, Iwamoto T.
    • 雑誌名

      BPB Reports

      巻: 4(5) ページ: 170-174

    • DOI

      10.1248/bpbreports.4.5_170

    • 査読あり
  • [学会発表] Development of anemia by newly introduced olaparib: a case control study.2022

    • 著者名/発表者名
      Chihiro Shiraishi, Toshinori Hirai, Michiko Kaneda, Akiharu Okamoto, Eiji Kondo, Tomoaki Ikeda, Takuya Iwamoto.
    • 学会等名
      The 21st Asian Conference on Clinical Pharmacy
    • 国際学会
  • [学会発表] 有害事象自発報告データベース(FAERS)を用いた腎機能低下時のアザチオプリンとアロプリノールの薬物相互作用解析2022

    • 著者名/発表者名
      平松駿一、 平井利典、 岩本卓也
    • 学会等名
      日本薬学会第142会年会
  • [学会発表] Investigation of biomarkers and preventive strategy of erlotinib-induced skin rash in rats2021

    • 著者名/発表者名
      Iqbal Julian and Takuya Iwamoto
    • 学会等名
      日本薬学会第141回年会
  • [学会発表] 腎機能低下者におけるアザチオプリンとアロプリノールとの薬物相互作用:症例集積研究2021

    • 著者名/発表者名
      平井利典、白石ちひろ、村田智博、岩本卓也
    • 学会等名
      第31回日本医療薬学会年会

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公開日: 2022-12-28  

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