エルロチニブ、レテルモビル、ミロガバリン、オラパリブ、バリシチニブ、アビラテロン、6-メルカプトプリンについて、PBPKプロトタイプを作成してDDI Simulator V.2.6(富士通九州システムズ)に、実装した。オラパリブ300mgX2/日について、強力なCYP3A4阻害薬であるイトラコナゾール(100mgX1/日)、ケトコナゾール(200mgX1/日)との定常状態における相互作用についてシミュレーションを行った。代謝実験データに基づくKi値(predicted in vivo Ki)、臨床データに基づくKi値(in vivo Ki)を使用した予測では、イトラコナゾール併用によりオラパリブのAUCはそれぞれ1.59倍、1.3倍の上昇と予測された。また、ケトコナゾールの併用では、predicted in vivo Ki、in vivo Kiを使用した場合、オラパリブのAUCはそれぞれ1.8倍、2.2倍に上昇すると予測された。実際、医薬品情報データベースであるMicromedex(Merative US L.P.)では、イトラコナゾールによるAUCの上昇は170%と記載されており、我々のシミュレーション結果とほぼ同様であった。さらに、イトラコナゾール及びクラリスロマイシンの併用時には、オラパリブについては150mgX2/日への減量がMicromedexで推奨されているため、その妥当性を検討した。オラパリブ300mgX2/日で投与した場合の定常状態のAUCは78.8 μg・h/mLであり、オラパリブ150mgX2/日に減量してイトラコナゾール及びクラリスロマイシンを併用した場合のAUCはそれぞれ62.5 、82.9μg・h/mLと予測された。この結果から、オラパリブ150mgX2/日への減量は79.3%及び105.2%の同等性があり、ほぼ妥当と考えられた。
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