研究課題
卒中・脳梗塞と呼ばれる脳虚血・再灌流障害は、神経細胞体(灰白質)の障害に加え、神経軸索部分(白質)の障害が後遺症に大きく関与している。そこで白質のモデルとして用いたマウス視神経では、予めH2含有飲用水を投与したマウスから摘出した視神経がin vitroで虚血障害抵抗性を示したため、in vivoでも同様に虚血・再灌流による神経障害を予防できるのかを検討した。7日間H2水あるいは水道水(コントロール)を飲ませたマウスを用い、脳梗塞モデルを作成した。脳梗塞モデルは、中大脳動脈(MCA)梗塞90分後、再灌流を行い、24時間後に脳固定、梗塞巣を染色・観察した。7日間という期間が短かったのか、90分という脳梗塞時間が長すぎたのか、H2水とコントロール群で、脳梗塞部位の面積に顕著な差は見られなかった。酸化ストレス抵抗性のメカニズムをミトコンドリアのレベルで観察するため、Neuro2A細胞株(神経細胞モデル)およびヒト・ミクログリア細胞株(免疫細胞モデル)を用いて、ミトコンドリアを単離し、エネルギー代謝の変化を観察した。キノン(Q)結合チャンバーと呼ばれる場所でH2によって電子(e-)およびプロトン(H+)が提供されると仮定すると、キノンの還元型ユビキノールが増えると、電子伝達系が活性化され、ATP産生が亢進するというラット心臓で観察されたことと一致する。細胞をH2あるいはN2(窒素ガス:コントロール)でバブリングした培地で毎日培地交換を行い、その後、ミトコンドリアを単離し、HPLC(高速液体クロマトグラフ)で解析した。その結果、いずれの細胞種でも、H2群でコエンザイムQの増加が観察された。また、免疫細胞では、H2群で細胞数に変化はないものの、ミトコンドリアが減少することがわかった。
ロシア連邦・ヴォロネジ医学大学内に、日露分子状水素生物医学研究センターを設立、日本代表に就任(HP作成は現在、中断)
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