研究課題
うつ病と統合失調症は人口の1%以上が罹患する極めて頻度の高い精神疾患であり、その治療の中心は薬物療法である。しかし、その経過は寛解・再発を繰り返し、約30%の患者で治療抵抗性を示す。加えて、抗精神病薬の長期投与では、肥満や糖尿病等の生活習慣病関連病態をきたし、服薬アドヒアランスの低下の他、QOLの低下や心血管イベントの増加(死亡率の増加)にも関係することが臨床で問題となっている。本研究では前年度に引き続き、抗うつ薬の新たな薬物投与設計法の開発を目指して、パロキセチン(PAX)を対象薬として、患者情報等による治療反応性の予測を試みた。PAX服用歴のあるうつ病患者86名を対象にして、血中PAX濃度と、治療反応性の指標としてMADRSを用いて、MADRS改善率を血中PAX濃度で予測する非線形混合効果モデルの構築を試みた。その結果、投与開始後1週目までの血中PAX濃度-時間曲線下面積の総量が、その後の8週目までのMADRS変化量を効果的に予測できる可能性を示した。一方、統合失調症患者は、肥満やメタボリックシンドロームの合併率が高く、死亡率の増加にも繋がっていることから、臨床で大きな問題となっている。この原因の一つとして、抗精神病薬誘発性の代謝異常が挙げられ、薬物毎に体重増加リスクが異なる。これまでに、女性患者では、抗精神病薬3剤以上服用者において過体重の頻度が高く、男女共にリスペリドン高用量服用者で、過体重の頻度が高いことを明らかにした。以上の結果から、臨床薬学的検討により、うつ病や統合失調症の個別化投与設計が実現できる可能性を示すことが出来た。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 4件)
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