研究課題
胎盤での物質透過性について、ヒト胎盤由来細胞BeWoをトランズウェル上に播種し、各種化合物の透過性について小腸上皮由来のCaco-2細胞、およびヒト肝細胞HepaRGと比較検討を行った。タイトジャンクション形成評価に用いられるカフェインでは、いずれの細胞もほぼ同様の透過傾向が認められ、ルシファーイエローでは、Caco-2細胞に比べ、肝細胞ではわずかに透過率は高かった。BCRP, P-gPの基質となる化合物の透過性を検討したところ、いずれもbasalからappical への移行性が2倍程度高くさらに阻害剤添加で有意に低下したことから、本条件での培養は生体内吸収過程を再現していることが検証で来た。そこで、トランズウェル上に肝細胞を裏側に胎盤細胞を培養し、肝代謝と胎盤細胞への移行性を検討した。特に肝臓の薬物代謝酵素チトクロムP450(CYP)に対して誘導効果を発揮する化合物をモデルに、胎盤細胞内のP450の変動をmRNAで検討した。BeWo細胞内のCYP1AmRNAは併用培養時化合物添加で上昇が認められた。代謝活性測定では、1.5倍程度のエトキシレゾルフィン脱アルキル化に上昇が認められたことから、添加化合物は一部肝臓での代謝を受け、その後胎盤を通過しP450の発現に影響を与えることが予想された。食品成分で健康維持の効果が期待されるものでは、実際に効率よく膜透過して体内に取り込まれているか不明であるものが多いことから、クロロゲン酸、カフェ酸を例として、体内移行性について検討を行ったところ、クロロゲン酸はそのままでは透過性は悪く、体内でカフェ酸に分解された後吸収されていること、この傾向は実験系のpH勾配を変動させることで変動することが明らかとなった。胎盤細胞の方が両者ともに透過しやすいことから、母体から胎盤を透過し胎児への曝露の影響についても、注意すべきであることが伺われてた。
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