研究課題
本研究はBCR-ABL1に点変異を認めないBCR-ABL1阻害薬耐性慢性骨髄腫細胞における耐性獲得機序の解明とその機序を阻害する分子標的薬を見出すことを目的としている。令和4年度では、令和3年度で見出いしたBCR-ABL1阻害薬耐性因子を分子標的薬にて抑制することでBCR-ABL1阻害薬耐性が克服されるか検討を行い、BCR-ABL1阻害薬と分子標的薬を併用することで、耐性が克服されることを明らかにした。また、見出した耐性因子が臨床でも同様にBCR-ABL1阻害薬耐性に関与するか検討したところ、耐性患者で因子の発現増加が認められた。さらに、耐性克服の詳細な機序を解析するため、耐性に関与するアポトーシス関連因子の解析を行い、数種の因子がBCR-ABL1阻害薬と分子標的薬併用により発現が変化し、これらにより耐性が克服されることを明らかにした。以上のことから、BCR-ABL1阻害薬耐性には、本検討で見出したシグナル伝達因子の活性化により、バイパス経路を介して活性化することでアポトーシスに関与する因子の発現低下が関与することを見出した。また、このバイパス経路を阻害する分子標的薬をBCR-ABL1阻害薬と併用することで、BCR-ABL1阻害薬耐性を克服できることを明らかにするとともに、臨床患者においても、本検討で見出したシグナル伝達因子の発現増加がBCR-ABL1阻害薬耐性に関与することを明らかにした。これらのことは、耐性因子を阻害する分子標的薬がBCR-ABL1阻害薬耐性克服に有用である可能性を示唆した。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
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