飲酒量低減薬ナルメフェンは、新しいアルコール依存症治療薬である。アルコール依存症の患者に「飲酒量低減」とすることで、治療のハードルが下がり、治療を受け入れやすく、減酒が有効である。そこで飲酒量低減薬ナルメフェンによる治療が期待されている。しかし、ナルメフェンの添付文書には動脈硬化症の発症・進展の主因である血中トリグリセリド増加、高脂血症などの副作用が記載されている。そこで「ナルメフェンは、動脈硬化症を発症・進展させる。」という有害作用の仮説を立て検証した。具体的には、主に動脈硬化症モデルマウスであるapolipoprotein E knockout (ApoE KO)マウス及び培養マクロファージ (RAW264.7細胞)を用いた。 ApoE KOマウスにナルメフェンを投与すると、濃度依存的に全大動脈および大動脈起始部における動脈硬化巣形成を促進させることを明らかにした。また大動脈起始部の動脈硬化巣内において、単球・マクロファージの泡沫化を促進させた。一方、RAW264.7細胞において、ナルメフェンは炎症誘発性サイトカインオステオポンチン(OPN)の顕著にOPN発現を増加させ、またoxidized-low density lipoprotein(oxLDL)のマクロファージ内取り込みを促進させた。そのoxLDLの細胞内蓄積には、スカベンジャー受容体CD36の発現増加を解することが示唆された。この内容は、2023年3月札幌で開催された日本薬理学会第143回年会で発表している。
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