研究課題
令和2年度はがん化学療法に伴う口内炎に対するポラプレジンク含有粘膜付着フィルム製剤の処方決定の検討および製剤試験(含量均一試験および安定性試験)を実施する予定であった。まず、小児患者に適応可能なポラプレジンク含有粘膜付着フィルム製剤の処方設計と特性の評価を行った。ポラプレジンク含有粘膜付着フィルム製剤のフィルム基剤としてヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を使用した。HPCは水、エタノールに溶解し、高いフィルム形成を有し、可塑性を持つ。また、溶媒として蒸留水、エタノールを使用した。ポラプレジンクとHPCを溶媒であるエタノール/蒸留水に一定の割合で調整し、その後、脱気、展延(展延速度:100 mm/sec)、乾燥(40℃、2時間)、切断、保存の工程で調整を行った。ポラプレジンクを含有させた際に柔軟性の著しい低下が認められ、乾燥時の収縮によるフィルムの反り返り、硬さが出現した。そこで、グリセリンを添加し、フィルムに及ぼす影響を検討した。その結果、グリセリンの割合に依存して崩壊時間の減少が認められ崩壊性が改善した。また、同様にフィルムの柔軟性と伸びが改善した。さらに、グリセリンの添加により引張強度は低下したものの、引張強度は目標値である2MPaは達成できた。以上、ポラプレジンクとHPCに可塑剤としてグリセリンを添加することによって、十分な強度を維持しつつ、柔軟性と伸び、崩壊性を改善させたポラプレジンク含有粘膜付着フィルム製剤を調整することができた。今後はフレーバーや甘味料の添加を行った処方の検討を行い、その後製剤試験を実施していく予定である。
3: やや遅れている
令和2年度はポラプレジンク含有粘膜付着フィルム製剤のフレーバーを除いた処方決定まで行ったが、当初の予定であった製剤試験(含量均一試験および安定性試験等)を実施することができなかった。一方、ポラプレジンク含有粘膜付着フィルム製剤の処方は概ね決定できており、令和3年度にて製剤試験を実施する予定である。
令和3年度に製剤試験を実施し、終了する予定である。製剤試験を終了したら、その結果を論文としてまとめる予定である。また、令和3年度は臨床試験の研究計画書の作成を行い、令和3年度後半から令和4年度の前半にて臨床研究を開始することを計画している。
令和2年度計画予定であった製剤試験が実施できなかったため次年度使用額が生じた。令和3年度は製剤試験の実施と当初の計画予定である臨床試験を開始する予定である。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
International Journal of Cancer
巻: 148 ページ: 1462-1469
10.1002/ijc.33316
Supportive Care in Cancer
巻: 28 ページ: 5943-5952
10.1007/s00520-020-05443-8