本申請研究では、がん治療等のリンパ節郭清時に高頻度で認められるリンパ浮腫について、基礎研究、ならびに臨床研究の両面から脂肪細胞とコレステロール等の脂溶性成分の動態について着目し、肥満との影響を明らかにすることを目標に検討した。 これまでに、研究者らは、コレステロール動態について、コレステロール輸送担体として知られるNPC1L1(Niemann Pick C1 Like 1)をアフリカツメガエル卵母細胞oocytesに発現させ、NPC1L1の新たな機能評価法の一つとして確立した。コレステロール等脂溶性物質の体内動態は、より詳細な検討が必要ではあるものの、NPC1L1を介したコレステロールの細胞内取り込みにエンドサイトーシスの関与が示唆された。一方、肥満はリンパ浮腫の高い増悪因子となっていることが知られているが、リンパ浮腫の発生メカニズムや、肥満を誘発・増悪させているかに関して等の因果関係は明らかになっていない部分も多い。リンパ浮腫はリンパ のうっ滞が物理的に生じているだけでなく、そのうっ滞などで蓄積された脂肪細胞等がリンパ管に対して、何らかの影響を及ぼしている可能性があると考えている。これまでに、我々は、ヒトリンパ管内皮細胞を用いて、レプチン曝露によるVE-cadherinの変化を伴うアルブミンなどの透過性変化を確認した。
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