研究課題/領域番号 |
20K07156
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
兒玉 幸修 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (50448510)
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研究分担者 |
川上 茂 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (20322307)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ドラッグデリバリー / 核酸医薬 / 経肺投与 / メラノーマ |
研究実績の概要 |
経肺投与可能なナノ微粒子製剤のsmall interfering RNA (siRNA)への応用と基礎的評価を行った。種々のカチオン性高分子、アニオン性高分子のスクリーニングを行い、様々な配合比でsiRNAと自己組織化させた結果、siRNAを内包した微粒子を調製することに成功した。微粒子の粒子径と表面電荷を測定したところ、粒子径100nm未満で表面がアニオン性の微粒子を形成していることが明らかとなった。また、蛍光標識したsiRNAを内包したナノ微粒子製剤を経肺投与した結果、肺に選択的に分布していることが確認された。 腫瘍の増殖に関与するタンパク質に対するsiRNAを用いてナノ微粒子製剤を作製した。また、マウスメラノーマ細胞株B16-F10を尾静脈内投与し、メラノーマ肺転移モデルマウスを作製した。メラノーマ肺転移モデルマウスにナノ微粒子製剤を経肺投与し、メラノーマ肺転移の増殖を評価した。その結果、5%糖液を投与したコントロール、nakedのsiRNAを投与したマウス、効果のないsiRNAを内包したナノ微粒子製剤を投与したマウスでは肺転移が増殖したのに対し、腫瘍の増殖に関与するタンパク質に対するsiRNAを内包したナノ微粒子製剤を投与したマウスでは肺転移が有意に抑制された。 また、mRNAを内包した微粒子の調製も試み、条件を最適化することでプロトタイプを調製することに成功した。 以上のように、我々は本年度の研究によって、経肺投与可能なナノ微粒子製剤のsiRNAの応用に成功した。また、腫瘍の増殖に関与するタンパク質に対するsiRNAへ応用した結果、メラノーマ肺転移に対して高い有効性を示した。来年度は様々なsiRNAやmRNAを用いて製剤を作製し、それらの薬理効果を評価・比較する。また、複数のsiRNAやmRNAを内包した製剤の調製も試み、薬理効果を評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究計画をほぼ達成できているため、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度においても当初予定していた研究計画に従い、研究を推進する。 具体的には、様々なsiRNAを用いてナノ微粒子を調製し、製剤学的検討を行い、製剤の最適化を図るとともに、担癌マウスにおける有効性を評価する。また、複数のsiRNAを内包した製剤開発も行い、同様に担癌マウスにおける有効性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
キャンペーン期間中に試薬の購入を行うなどして、効率的に研究費を使用し、COVID-19の影響により学会がWeb開催となったため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額については、次年度実施するsiRNAの薬理効果の実験において、複数種類のsiRNAが必要になるため、そのsiRNAの購入に補填する。
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