研究課題/領域番号 |
20K07161
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研究機関 | 日本薬科大学 |
研究代表者 |
山田 泰弘 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (80464551)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヒト肝癌由来細胞 / ヒト代替肝細胞 / DNAメチル基転移酵素阻害剤 / エピゲノム処理 / 薬物代謝酵素 / シトクロムP450 / グルクロン酸転移酵素 / 硫酸転移酵素 |
研究実績の概要 |
創薬研究でのDMPK研究に資するヒト代替肝細胞(ヒト肝細胞様細胞)を創製するために、複数種のヒト肝癌由来細胞株を数種類のDNAメチル基転移酵素(DMNT)阻害剤でエピゲノム化処理し、薬物代謝酵素(7種類のシトクロムP450分子種、グルクロン酸転移酵素および硫酸転移酵素)活性の高発現について、各細胞株間および各DMNT阻害剤間で比較検討中である。まだ充分な検討結果に至ってはないが、同じ様なヒト肝癌由来細胞株を同様のDMNT阻害剤でエピゲノム処理しても、薬物代謝酵素活性をほとんど発現しない細胞株とヒト初代培養肝細胞に匹敵する高い薬物代謝酵素活性を高発現する細胞株が存在することが明らかになった。今後は、薬物代謝酵素活性を高発現する細胞株を用いて、最も効率よく薬物代謝酵素活性を高発現させるDMNT阻害剤について検討する。 DMNT阻害剤の単独暴露処理では、高い薬物代謝酵素活性を発現させるために約2~3週間の処理期間が必要であることが明らかとなった。そこで、処理期間を短縮するために、培養培地へのサプリメントとして、低分子化合物A(SNAILの遺伝子とタンパク質の発現を抑制)と低分子化合物B(CDK阻害剤)について検討を開始した。化合物Aをサプリメントとして加えることにより、高い酵素活性を発現するまでの期間が加えないときと比べて1/3~1/2程度短縮されるのと、酵素活性が数倍高くなることが明らかとなった。また、典型的なCYP1A2誘導剤によるCYP1A2誘導能もより高く発現することも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍による緊急事態宣言などにより、構内への学生の入校制限や学生による研究の実施に制限がかかり、そのために研究の全てを私一人で実施しているために、当初の予定より研究の進捗状況は大幅に遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1.ヒト代替肝細胞を創製するのに最も優れたヒト肝癌由来細胞株の検討。 2.最も効率よく薬物代謝酵素を高発現させるDMNT阻害剤の検討。 3.DMNT阻害剤によるエピゲノム処理の効率を高めるためのサプリメントの検討。 4.CYP誘導能を発現させるための三次元培養を含む新規培養法の検討。 5.ヒト代替肝細胞を創薬研究へ活用するためのアプリケーションの構築。
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次年度使用額が生じた理由 |
・代替ヒト肝細胞の薬物代謝酵素活性を初代培養ヒト肝細胞の薬物代謝酵素を比較するために、凍結ヒト肝細胞を購入する。 ・三次元培養を含む新規培養デバイスや培地および試薬・器具類を購入する。 ・薬物代謝酵素活性をLC-MS/MSで測定するための器具類、基質およびその代謝物、内部標準物質などを購入する。
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