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2020 年度 実施状況報告書

個別製剤化を可能にする口腔内崩壊フィルムの連続生産システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K07167
研究機関明治薬科大学

研究代表者

井上 元基  明治薬科大学, 薬学部, 助教 (90722950)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード口腔内崩壊フィルム / 連続生産 / ラマン分光法
研究実績の概要

口腔内崩壊フィルム(ODF)の連続生産を想定し、ODF製造とラマンモニタリングを行った。購入したフィルムアプリケータにより、ODFをバッチ生産することで薬物が製剤中に均一分散したODFの組成の最適化ならびにその物性を評価した。フィルム基剤にはセルロース誘導体、可塑剤にはグリセリンを加えることで、いくつかの疎水性薬物を含むODFを調製した。ODFの組成の最適化は、離型剤からの剥離、引張強度、水中での崩壊時間、治療に必要とされる薬物を均一濃度で含有できるフィルムとした。その結果、エナラプリルマレイン酸塩を含有し、ODFとして使用できる物性を持つ条件を見出した。ラマン分光器の装着可能な連続生産装置を作成し、連続生産可能な組成のODFについてオンラインモニタリングした。連続生産を想定したラマン分光法による製剤中薬物濃度評価ラマン分光法では、最適な分析条件を見つけ出し、移動速度が最適なODF生産時に、1秒ごとに薬物濃度を±5%以内の高精度に評価できることを報告した。
本研究から派生した業績として、シクロデキストリンによる味マスキングのための基礎研究を行った。シクロデキストリンの包接の可否はラマン分光法で識別が困難なケースもあるため、結晶形に由来した低波数領域ラマンスペクトルを利用した。薬物の分析に先立ち、化学構造の単純な二置換ベンゼンのシクロデキストリン誘導体の結晶を利用したところ、通常および低波数のいずれの領域でも識別ができるグループ、通常領域では識別は困難であるが、低波数領域では識別が可能なグループがあることが明らかとなった。両グループの違いはシクロデキストリンとゲスト化合物の相互作用に起因することを単結晶構造解析から考察している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通りラマン分光法により製剤中薬物濃度のモニタリングについて達成したため、順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

これまでにラマン分光法によるODFの連続生産のモニタリングを可能にした。これまでに薬物が製剤中に均一分散したODFを扱ってきたが、複数種類の薬物含有やマスキングした多層のODFも有用な製剤と考えられる。コーティング層を含むまたは、2種類の薬物を別の層のODFに含む多層ODFの調製ならびに分析法を研究する。多層ODFはこれまでに利用してきた後方散乱型ラマン分光法では評価が困難であるので、フィルムの深さ方向に関して分析可能な透過ラマン分光により評価を予定している。

次年度使用額が生じた理由

フィルム評価に必要な引張試験機の治具を2020年度内購入を予定していたが、生産国のロックダウンにより、2021年5月に納入となったため。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] Heinrich-Heine-University, Duesseldorf(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Heinrich-Heine-University, Duesseldorf
  • [国際共同研究] Coherent Inc.(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Coherent Inc.
  • [雑誌論文] Raman monitoring of semi-continuously manufactured orodispersible films for individualized dosing2021

    • 著者名/発表者名
      Motoki Inoue, Olga Kiefer, Bjoern Fischer, Joerg Breitkreutz
    • 雑誌名

      Journal of Drug Delivery Science and Technology

      巻: 61 ページ: 102224

    • DOI

      10.1016/j.jddst.2020.102224

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Solid-State Analysis of Alpha-Cyclodextrin Inclusion Complexes Using Low-Frequency Raman Spectroscopy2021

    • 著者名/発表者名
      Motoki Inoue, Hiroshi Hisada, Kazuhiko Takatori, Tatsuo Koide, Toshiro Fukami, Anjan Roy, James Carriere
    • 雑誌名

      Analytical Chemistry

      巻: 93 ページ: 704-708

    • DOI

      10.1021/acs.analchem.0c03854

    • 査読あり / 国際共著
  • [備考]

    • URL

      https://www.my-pharm.ac.jp/education/kdb/kyoin/kyoin_136.html

  • [備考]

    • URL

      https://www.my-pharm.ac.jp/news/2020/11/expo-1.html

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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