研究課題/領域番号 |
20K07175
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
内藤 隆文 浜松医科大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (80422749)
|
研究分担者 |
川上 純一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (50272539)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 甲状腺ホルモン / 妊娠 / 肝取り込みトランスポーター / バイオマーカー / 有機アニオン輸送ポリペプチド / 周産期 |
研究実績の概要 |
本研究では、有機アニオン輸送ポリペプチド (OATP)1Bの輸送活性を反映する複数の血清マーカーを指標に周産期におけるOATP1Bの輸送活性を定量的に評価することを目的とする。さらに、周産期における甲状腺ホルモンの体内挙動に着目し、OATP1Bの輸送活性との関係解析を行うとともに血清マーカーを用いた血中甲状腺ホルモンの予測性を評価する。以下、2020年度における研究成果を記載する。 臨床試験については、当施設の臨床研究倫理委員会の承認を受けた。対象とする妊婦から、妊娠1-3期、産褥期(4週未満)に分けて、被験者・患者の同意の下、血液の残余検体を収集した。また、解析結果に影響を及ぼすと考えられるレボチロキシンの服用患者、耐糖能異常を生じている患者、妊娠高血圧症候群の患者については、サブグループを作成した。対象とする妊婦の甲状腺ホルモンの評価にあたり、血中遊離トリヨードサイロニン、遊離サイロキシンおよび甲状腺刺激ホルモンを自動分析装置で測定するための機器設定を行い、少数検体を対象に測定値の分布を確認した。加えて、コレステロールの中間代謝産物であるグリコリトコール酸硫酸やグリコケノデオキシコール酸硫酸などの胆汁酸類の血中濃度測定について、質量分析計を用いた簡便な定量法を確立し、ヒト血漿試料における分析バリデーションを実施した。妊婦における胆汁酸類の測定値の分布の把握については、未実施である。加えて、男性ホルモンの中間代謝産物であるデヒドロエピアンドロステロン硫酸についても、妊婦における測定値の分布の把握は未実施である。現在、目標とする被験者・患者数の集積に向けて、被験者・患者登録、情報および検体の収集を実施している。2021年3月末の時点で、35名の被験者・患者から同意を得られ、109検体を収集している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床試験の倫理審査申請を行い、委員会から承認を受けた。被験者・患者の登録、情報および検体の収集を開始した。加えて、肝取り込みトランスポーターの輸送活性を評価するためのバイオマーカーの測定法の確立と測定値の分布の把握が開始できていることから、おおむね順調に研究が進展した。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度に開始した臨床試験の被験者・患者登録とともに、被験者・患者情報及び検体の集積を継続する。さらに、肝取り込みトランスポーターの輸送活性を評価するためのバイオマーカーについて、妊婦検体での測定値の分布を把握する。肝取り込みトランスポーターの輸送活性に関連することが推測される遺伝的要因(OATP1B1、OATP1B3、DIO1等の遺伝子変異)やエピジェネティック因子(血清miRNA)の評価系の構築を開始する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
甲状腺ホルモンの測定に関しては、講座で保有している自動分析装置を使用したことにより、外部検査機関への委託費用が不要になったことが挙げられる。また、胆汁酸類の測定においては、エレクロスプレーイオン化での検出が可能であったことと安定同位体ラベル試薬等の消耗品の購入費用が予想していたよりも安価であった。 2021年度年度の研究費については、前年度から開始した肝取り込みトランスポーターの輸送活性を評価するためのバイオマーカーの測定に必要な消耗品にかかる費用とともに、遺伝子解析やエピジェネティック因子の評価に関連した消耗品、情報収集のための学会参加、学内共同機器の使用料に研究費を使用する。
|