研究実績の概要 |
前年度の成果を受け、最も高い効果予測が見込まれる組み合わせの選別を試みた。効果予測に関し、初回投与前(治療前)の予測性が臨床上特に重要である。そこでまず、ニボルマブ効果群で高頻度に検出された免疫複合体抗原9種類のうち、治療前に特徴的に検出されたものの中から予測性が高い組み合わせを探索した。その結果、5種類の組み合わせ(profilin-1, purine nucleoside phosphorylase, alpha-enolase, and nucleoside diphosphate kinase A)で一定の効果予測が可能であることがわかった(p = 0.0043, odds ratio = 2.26, 95% confidence interval (CI) = 1.19~4.28, area under the curve (AUC) = 0.76)。一方、治療前の効果予測が不可であった場合の次善策として、初回治療後の予測性についても同様に検討した。4種類の組み合わせ(peptidyl-prolyl cis-trans isomerase A, ubiquitin-like modifier-activating enzyme 1, complement component C8 beta chain, and apolipoprotein L1)で効果予測の可能性が示された (p = 0.0039, odds ratio = 2.56, 95% CI = 1.25~5.23, AUC = 0.77)。ここまでの研究成果をまとめ、英文雑誌に投稿した(Revise原稿査読中)。 一方、免疫複合体抗原の抗原決定基(エピトープ)特定に関し、実証研究を進めた。具体的には架橋剤質量分析法でエピトープ部分を精密に解読できる手法を仮構築し、自ら作製したモデル免疫複合体から既知の抗原エピトープを解読することに成功した。このin vitro確認実験の結果を受けて、今後in vivo検証を進める。
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