本研究は,抗体,タンパク,ペプチド及び核酸等,重要性が高いが注射等の侵襲的投与経路以外に有効な投与経路が存在していない化合物に対する新規経肺 DDS 製剤の戦略的開発を目的とする.今回,経肺投与後における薬物含有粒子の分布・滞留性を正確に評価するため,環境応答性を有する蛍光プローブを用いた吸入用微粒子を設計した.肺内粒子拡散動態を制御すべく,機能性ポリマーを用いた粘液透過性および付着性ナノ粒子を搭載した吸入用微粒子を開発した.これにより肺内における薬物暴露時間を制御できる可能性が見出された.本知見の応用により,肺への,または肺から全身への効率的薬物送達を可能とするDDS製剤開発が期待できよう.
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