研究実績の概要 |
老眼はこれまで水晶体タンパク質の変性・修飾反応による水晶体硬化が原因とされているが、その原因として、水の流動性不全による水晶体静水圧上昇が水晶体硬化を引き起こすことが報告されている。水晶体の水動態はNa/K ATPaseによって制御されており、水晶体ではTRPV1とTRPV4によってNa/K ATPase活性が変化することが知られている。本研究では、TRPVチャネルに着目し、水晶体における機能解明と老眼の発症への寄与を解明することを目的とした。 今年度、温度変化や毛様体筋―チン小帯からの圧力変化によってTRPVチャネルの局在が変化することを見出し、New ZealandのPaul Donaldson教授らとともに報告した(Nakazawa Y et al., IJMS 2021)。また、抗白内障候補化合物であるHesperetinおよび水溶性Hesperidinを投与するとマウス水晶体の弾性低下が抑制され、同時にTRPVチャネルの局在が変化することを見出した(Nakazawa Y et al., Cells 2021)。さらに、TRPV1のアゴニストを点眼するとある種の白内障発症が抑制されることを見出し報告した (Sugiyama Y, Nakazawa Y, et al., Exp Eye Res 2021)。
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