【最終年度の研究成果】 2021年度に実施した薬局薬剤師に対する口腔内症状への対応の現状や認識の調査及び、2022年度に実施した薬局でのオーラルフレイル予防啓発の有用性に関する調査について、研究成果をまとめて英文論文の作成を行った。また、第20回日本口腔ケア学会総会・学術大会及び第26回日本口腔ケア協会学術大会では、それぞれシンポジストとして、薬局で行う口腔の健康セルフチェックと口腔ケア啓発の有用性について発表した。 【研究期間全体の研究成果】 1)薬局での唾液による口腔内環境チェックの有用性の検討:我々の先行調査(1薬局にて実施)をもとに、複数の薬局での拡大調査のプロトコールの検討を行った。唾液による口腔内環境チェックの結果は食事の影響を受けることが示唆され、食後2時間以上経過した状態での測定が望ましいと考えられた。我々の先行調査について、英文論文2報にまとめることができた。 2)薬局での口臭測定の有用性の検討:薬局店頭での口臭測定を見据えて、口臭測定器を用いて、口臭成分である硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドいずれも食直後に減少し、1~3時間後に回復することを確認した。また、国民の口臭に対する認識及び薬局での口臭測定に対する関心度・ニーズをwebアンケート方式にて明らかにした。 3)薬局でのオーラルフレイル予防啓発の有用性の検討:「口腔機能のささいな衰え」を意味するオーラルフレイル(OF)は、要介護や死亡のリスクとの関連も示されている。薬局の啓発イベントとして、OFのセルフチェック及びOFの知識と予防方法に関する情報提供を行い、OF予防に対する意識や行動への効果を検証した。啓発イベント参加者のOFの認知度は低く、イベント実施後にOF予防に対する意識の改善や予防方法の継続実施が確認できたことから、薬局でOFの周知・啓発を行う意義は大きいと考えられた。
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