研究課題/領域番号 |
20K07193
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
西 弘二 崇城大学, 薬学部, 准教授 (00398249)
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研究分担者 |
異島 優 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (00457590)
井本 修平 崇城大学, 薬学部, 准教授 (20447189)
山崎 啓之 崇城大学, 薬学部, 教授 (30435143)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膵がん / ニトロ化合物 / NOラジカル |
研究実績の概要 |
膵がんは早期発見が難しく、最も予後の悪い固形がんの1つとして知られている。加えて、化学療法の奏効率も極めて低い。その原因として、膵臓や膵がん細胞周辺の血流量の低さや、腫瘍周辺の間質の多さが薬物移行性を妨げていることが報告されている。最近、NOラジカルが膵がん細胞だけでなく間質細胞に細胞死誘導効果を発揮することが報告された。 そこで我々は、新規膵がん治療薬開発を目的として、新しいNOラジカル放出剤であるニトロ化フェニル酪酸(NO2-PB)を合成した。これまで我々はNO2-PBが時間および濃度依存的に膵がん細胞株に対して細胞死を誘導することを見出している。そのため、NO2-PBの細胞死誘導メカニズムに明らかにするために各種検討を行った。これまでアポトーシスの関与の可能性が極めて低いことを明らかにしたことから、ネクローシスまたはネクロプトーシスの関与について検討を行った。ネクロプトーシス阻害剤であるネクロスタチンをNO2-PBと併用したところ、NO2-PBの細胞死誘導効果に有意な変化は観察されなかった。そのため、NO2-PBによる細胞死誘導にはネクローシスが関与している可能性が明らかとなった。さらに、in vivoでの抗腫瘍効果を評価するため、ヒト膵がん細胞株を皮下移植したマウスを用いて、NO2-PBの腫瘍増殖抑制効果について検討を行った。その結果、NO2-PB単回投与にも関わらず、コントロール群と比べて、約7週間もの間、有意な腫瘍増殖抑制効果が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画どおりマウスにおける効果も確認できている。
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今後の研究の推進方策 |
NO2-PBの詳細の細胞死誘導メカニズムの解析および、他のニトロ化合物の抗腫瘍効果およびそのメカニズムの解明を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究について、学内予算等も用いて進行することができたため。 加えて、翌年度(2022年度)は、前年度までの研究成果に基づいたより発展的な検討に使用する予定である。
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