研究課題/領域番号 |
20K07199
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
廣田 有子 九州大学, 薬学研究院, 助教 (50588259)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | LAPTM4b / リソソーム |
研究実績の概要 |
LAPTM4bは様々な種類のがんに高発現していること、その発現レベルがリンパ節等への転移に正に相関すること、反対にLAPTM4bの発現を抑制すると化学療法に対する感受性が増すことが断片的に示唆されているが、LAPTM4bの細胞内輸送や局在との関連を含めて、包括的な解明には至っていない。 本研究は、LAPTM4bがいどのようにしてリソソームへと輸送されるかについて、相互作用する因子Eps15とその関連因子の役割について明らかにすること、ならびにLAPTM4bが薬剤耐性をどのようにして誘発するか、細胞膜に局在するLAPTM4b変異体が薬剤耐性に寄与するか、またがん転移への関与について明らかにすることを目的にしている。 初年度である2020年度は、LAPTM4bとEps15との関連、すなわちEps15の発現がLAPTM4bのリソソームへの輸送に関与するか否かについての検討を行った。その結果、Eps15をノックダウンしたHeLa細胞において、LAPTM4bのTGNへの繋留が認められた。また、その関連因子についても、ユビキチン化がEps15とLAPTM4bの相互作用に必要であることも示唆された。そのユビキチン化を担うのがHECT型E3リガーゼであるItchであることから、Itchによるユビキチン化がLAPTM4bの輸送シグナルとして寄与していることが明らかとなった。ただし、LAPTM4b自身のItchによるユビキチン化の影響はTGNからエンドソーム・リソソームへの輸送に際しては限定的であった。 以上の結果から、LAPTM4bのTGNからエンドソーム・リソソームへの輸送はItchによるEps15およびその関連因子のユビキチン化が必要であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた課題については、すべて行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初の計画通り、目的の二つ目に掲げているLAPTM4bの薬剤耐性への寄与について検討を行っていく。 2021年度は、LAPTM4bのリソソームあるいは細胞膜への局在が抗がん剤の取り込みに与える影響について検討を行うほか、LAPTM4bのがん細胞の浸潤・遊走について等の検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度使用予定であった、細胞培養にかかる費用(血清や培地、トランスフェクション試薬等)が、一部、計画変更のため使用しなかったため。 また、参加予定であった学会が新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となったことで、旅費として計上していた額を使用しなかったため。
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