研究課題
本研究は、第3世代抗てんかん薬ペランパネル(PER)に着目し、薬物間相互作用、薬物代謝酵素の遺伝子多型等の薬物動態影響因子を多面的に解析することで、抗てんかん薬の精密個別投与設計に寄与することを目的とした。PERを服用中の患者を対象とし、採血は服用6-12時間後に行った。PERの血漿中総濃度及び遊離形濃度とCYP3A活性の指標である血漿中4β-hydroxycholesterol(4β-OHC)濃度はLC-MS/MSにて測定した。2021年度の結果にさらに症例を集積して対象患者50名にて解析を実施した。CYP3A誘導剤(カルバマゼピン、フェニトイン及びフェノバルビタール)併用群ではCYP3A誘導剤非併用群と比較して、総及び遊離形PERの血漿中濃度/投与量(C/D)比が有意に低く、4β-OHC濃度は有意に高値を示した。また、総及び遊離形PERのC/D比と4β-OHC濃度は有意な負の相関を示した。薬物代謝に関わる遺伝子多型に関し、CYP3A誘導剤非併用群において、CYP3A5*1保持群(*1/*1および*1/*3)と非保持群(*3/*3)で、血漿中総PERのC/D比及び4β-OHC濃度に差はみられなかった。一方、CYP3A誘導剤非併用群において、POR*28保持群(*1/*28および*28/*28)と非保持群(*1/*1)で、*28保持群の総PER濃度C/D比が有意に低く、4β-OHC 濃度が有意に高い値を示し、PORの遺伝子多型がPERの代謝能に影響することが明らかになった。また、PERの発作頻度減少率と総及び遊離形PER濃度間に直線的な相関はみられなかったが、総及び遊離形PER濃度の低濃度域では発作頻度減少率が低い患者が散見された。有害事象によりPERが減量・中止となった患者は、有害事象非発現者に比べ総PER濃度が有意に高値であった。
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