研究課題/領域番号 |
20K07203
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
尾関 哲也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (60277259)
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研究分担者 |
田上 辰秋 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (10609887)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | バイオ医薬品 / ポリ乳酸グリコール酸共重合体 / 抗体医薬品 / タンパク医薬品 / 多孔質マイクロ粒子 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、生分解性ポリマーであるポリ乳酸・グルコール酸共重合体を基材としたバイオ医薬品を徐放するため、新しいドラッグデリバリーのプラットフォームとして、多孔性PLGAマイクロ粒子に注目し、検討を進めている。孔の中に抗体医薬などのバイオ医薬品を吸着させてからPLGAの相転移温度付近で加温することで孔をふさぐことで薬物含有マイクロ粒子を作製した。この方法は、薬物封入過程で有機溶媒を必要としないため、有用な薬物封入法であると考えられる。 タンパクの等電点に着目し、異なるpHの溶液にタンパク医薬品と多孔性PLGAマイクロ粒子を混合しインキュベーションした。その結果、pHによって多孔性PLGAマイクロ粒子に吸着する量が異なる結果が得られ、pHが本方法における薬物充填に重要であることがわかった。 また、TNF-αで殺傷されるようなTNF-α感受性細胞に対して、PLGAマイクロ粒子から放出されたインフリキシマブ(TNF-α抗体)が細胞の傷害を救うことができるかどうか、細胞実験を行った。その結果、本方法で作製したPLGAマイクロ粒子の方が、従来法で作製したPLGAマイクロ粒子よりも高い細胞生存率を示すことがわかった。 薬物放出試験の検討を行った結果、2か月にわたって薬物を徐放することを確認した。今回使用した抗体製剤は、もともと薬効を長く保つ製剤であるため、実際の治療効果に対する付加価値は少ないと思われるが、半減期の少ない抗体製剤(抗体断片など)や他のタンパク製剤を用いた場合、本方法で開発した徐放性の多孔性PLGA製剤は有用となることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検討の結果、多孔性PLGAマイクロ粒子をキャリアとして用いることにより、実際の薬物の薬効がin vitro実験ではあるが、ある程度保たれていることが確認でき、順調に進捗していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこの技術を用いて、他のMacro moleculeにも適用していきたいと考えている。その一方で、PLGAマイクロ粒子で用いた化合物の中には潜在的に細胞毒性を有しているポリマーが含まれていることから、実際の細胞毒性を検討したいと考えている。また他のポリマーへの変更を行うことによりさらに改良できるのではないかと考えている。
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