研究課題/領域番号 |
20K07213
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松野 純男 近畿大学, 薬学部, 教授 (30299094)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 医療用語 / 患者向け文書 / 正答率 / 多変量解析 |
研究実績の概要 |
「患者向け文書」として病院などで使用されている文書の中に、明らかに一般の方が意味を知らないと考えられる医療専門用語が散見されており、インフォームドコンセントの観点から、患者の治療選択にあたって十分な情報提供ができていない現状がある。そこでこれら専門用語の実際の理解度を測定し、理解度の低い専門用語を平易な単語に置き換えるシステムの構築を目的とした。 2021年度は、2020年度に作成した「医療用語の認知度に関する研究」オンラインクイズ出題システムに改良を加え、医療用語として使われる単語の意味を選択肢から選ぶ形式で、医療従事者・医療系学生・一般の方から回答を収集した。この結果を元に解析を行い、意味が正確に伝わっていない単語の抽出をおこなった。 まず正答率の解析から全てのクラスで正答率の低い単語として「局所」「乾癬」「喉頭」「制御」「スケジュール」「寛解」が抽出された。また、医療関係者と一般の方で正答率に差があった単語として「浸潤」「予後」「経過」「潰瘍」「網膜」「免疫」が抽出された。また「パンデミック」「クラスター」など、コロナ禍で頻出されるようになった単語についても、本来の意味を理解できていないことがわかった。 実際に病院などで用いられている「患者向け文書」からこれらの単語の出現率を調べたところ、高頻度で使用されていることが示唆された。2022年度は多変量解析を用いて正答・誤答のパターン分析を行うとともに、「患者向け文書」からこれらの単語を自動抽出するシステムを構築する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文書そのもののデータ分析は、当初の予定通りに進行している。一方で、当初予定していた自動的に単語を変換するシステムは、置き換える単語の設定に苦心しており、ハイライト表示にとどめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2022年度は、患者向け文書から正答率の低い単語をハイライト表示し、修正を促すシステムを開発する。また、解析に関しても決定木分析などの多変量解析を用いて正答・誤答のパターン分析を行う。これらの成果を学会・論文などで発表する予定であるが、コロナ禍で学会の参加が難しく、より効率的な成果発表の場を模索中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で研究調査や学会参加の出張などができず、旅費の執行が0となっている。また、密を避けるなどの目的で、外注予定であった部分の人件費執行も滞っている。 コロナ感染が一定まで収まった段階で、2022年度は特に学会での成果発表を積極的に行う予定であり、また、医療関係からのヒアリングを通したシステム改良のための情報収集による調査旅費の執行を行う予定である。
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