研究課題
脳梗塞は炎症を含む複雑な病態をたどり、現病状を正確に把握することが難しい。そのため、脳梗塞の複雑な病態を反映するバイオマーカーが策定されることで、患者個別の治療計画を提案することが可能となる。申請者は、脳梗塞バイオマーカーを探索するため、マウス脳梗塞モデルを作製して、脳梗塞処置後1日目、血液を回収して、血液中に含まれるタンパク質を解析した。その結果、数種類のタンパク質は脳梗塞後、増減していることが明らかとなった。本研究は、検出された脳梗塞バイオマーカー候補タンパク質の有用性について、脳梗塞モデルマウスを用いて、解析した後、脳梗塞患者の検体を用いて検証するために実施した。実験にはマウスの中大脳動脈に栓子用のフィラメントを挿入した脳梗塞モデルマウスを作製して使用した。作製した脳梗塞モデルマウスから、経日的に血液を回収し、ELISA法を用いて、脳梗塞バイオマーカー候補となるタンパク質の血中濃度を測定した。その結果、候補タンパク質が確かに脳梗塞処置後1日目に増加していることを確認した。また、脳梗塞処置後7日目までの動態を明らかにした。研究期間内に脳梗塞患者の血液中バイオマーカー候補となるタンパク質濃度を測定するために必要な患者の主要なカルテデータの収集と血液検体の回収について、完了した。今後、研究を進めていくことで、脳梗塞モデルマウスの解析結果より得られたバイオマーカー候補となる血中タンパク質の動態が脳梗塞の重症度などを反映する優れたバイオマーカーとなることが期待される。
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NeuroReport
巻: 33 (7) ページ: 297-303
10.1097/WNR.0000000000001780