研究課題/領域番号 |
20K07216
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
小出 達夫 国立医薬品食品衛生研究所, 薬品部, 室長 (40321856)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ラマン分光法 / 透過 / ケモメトリックス / 定量 / 製剤 |
研究実績の概要 |
透過ラマン分光法による医薬品製剤中の有効成分の定量における精度向上及び医薬品品質試験への実用化を目的として、本年度も引き続き測定に影響する要因について検討を行うとともに、定量モデル作成に適用できると考えられた新規解析手法について検討を行った。本検討にはモデル製剤としてインドメタシンを主薬とする共結晶もしくは非晶質0-20%を含有する錠剤を用いた。スペクトル前処理はベースライン処理+標準化もしくは1次微分を行い、解析手法はPartial Least Squares Regression(PLSR)もしくはPLS type 2 Discriminant Analysis (PLS2-DA)を用い、測定の精度向上及び簡易迅速測定の検討を行った。ラマン分光器は市販の透過測定専用機器もしくは新たに作成した通常のラマン分光器に取り付ける簡易型透過ラマン分光測定用アタッチメントを用いた。今回の検討においてスペクトル前処理は1次微分を用いることにより精度が上がり、解析手法は今回用いたどちらでも精度は大差なかった。ただし、簡易型透過ラマン分光アタッチメントを使った場合は専用機器と比較して精度が下がることが明らかとなった。アタッチメントは低コストで簡便に測定できる利点があるものの、レーザーを照射した際に発生する散乱光の収集効率が悪いことから散乱ピークが弱くなることが原因であり、試料を破壊しない程度でできるだけ強いレーザーを用いること、収集効率を上げるために光路上のロスを少なくすることが精度向上に必要と考えられた。本検討の進展及び成果は今後の透過ラマン分光法による医薬品製剤の定量法の実用化に大きく貢献すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、透過ラマン分光法の精度向上のための要因解明と定量のための解析手法について、一定の検証ができたことから、ある程度の到達目標を達成できたものと考えている。しかしながら、部品供給の遅れから機器の導入が遅れたこと、また、新型コロナ感染症の影響で、学会発表等成果報告が当初の予定通りとはならならず、若干の遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、これまでの成果について論文投稿等の成果公表を中心に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の影響で、参加予定していた国内、国際学会の中止若しくはWeb開催が相次いだため、旅費の使用が少なかった。次年度は論文投稿の経費など、成果公表に使用する予定である。
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