下等脊索動物の内柱は脊椎動物の甲状腺と相同だが、甲状腺機能の起源を内柱のヨード集積機能に求めるシナリオには齟齬がある。本研究では、2種の尾索類(ワカレオタマボヤ、カタユウレイボヤ)の甲状腺転写因子(TTF-1/Nkx2-1およびTTF-2/FoxE)の遺伝子機能阻害実験を行い、TTF-1/Nkx2-1依存および非依存の甲状腺関連遺伝子の発現制御機構、TTF-1/Nkx2-1依存の分泌関連遺伝子vWFLの発現制御を明らかにした。その上で、内柱を起点とした適応進化の結果として説明可能な甲状腺進化のシナリオを提唱した。
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