研究課題
基盤研究(C)
脊椎動物の脳は細胞でできた一層の「シート」が分厚くなっていくことにより形成される。このシートをつくっている細胞は神経系前駆細胞と呼ばれ、細胞分裂を繰り返して神経細胞を生み出すという重要な役割を持っている。本研究では、この神経系前駆細胞で作られたシートの「弾性」という物性をElastinというタンパクが担っていることを見出した。Elastinにより担保される脳の弾性は、脳の一番内側の部分における神経系前駆細胞の動きに欠かすことが出来ない役割を果たしていた。
発生生物学
脳の発生は古くから研究者の興味の対象であり、膨大な研究がなされてきた分野である。しかしながら、脳に限らず生物の組織・器官自体が有する物性(たとえば柔らかいのか硬いのか)が、発生という現象に対していかなる役割を担っているのかはほとんど解っていなかった。本研究の成果は、脳が「程良い硬さ」を有することが、その発生に重要な役割を果たすことを示唆する点で重要な知見をもたらすものである。