精子幹細胞では、自己複製能を不可逆的に喪失し精子形成へ向けて運命決定される一時期において、転写後レベルで起こる複数のゲノム修飾酵素の発現上昇に伴って大規模なゲノム修飾の変動が引き起こされる。本研究は、これらゲノム修飾酵素群の発現上昇に関わる転写後制御機構を明らにすることを目指した。結果、1) mRNAの核外輸送と局在化、2) 精子幹細胞の分化移行に伴うタンパク質合成全般の上昇、およびmTORの活性化、の直接的な影響によって誘導されていないことが明らかとなった。これは、ゲノム修飾酵素の蓄積が、タンパク質合成全般の変動に付随するというより、何か選択的な制御機構によって達成されていることを示唆する。
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