研究実績の概要 |
本研究は、パルブアルブミン陽性大脳皮質介在ニューロン(PVニューロン)の領野普遍的・特異的な形態特徴を明らかにし、疾患と関連したPVニューロン細胞形態異常を探索することを目的としている。本目的を踏まえ2022年度は以下の研究を実施した。 1) PVニューロンの細胞形態の完全可視化:前年度まで検討を重ねてきたが、PVニューロンの細胞形態の完全可視化は、PVニューロン特異的にCreリコンビナーゼを発現するマウス(PVCreマウス)に対して、tTAを発現するAAVベクター、Creコンビナーゼ並びにテトラサイクリントランスアクチベーター(tTA)存在下で膜移行型GFPを発現するAAVベクターを注入し、透明化した1mm厚のスライス中で観察を行うことにより実施した。この際、研究代表者が独自に開発したナノボディを用いた三次元免疫組織組織化学法を適用することにより解析の高速化を図った。神経突起が長距離伸長している場合は、複数のスライス中の形態情報を統合することにより、細胞形態の完全可視化を行なった。この手法を前障に応用することで前障のPVニューロンの細胞形態の解析を行い、論文報告を行なった(Takahashi et al., Neurosci Res: 2022)。 2)PVニューロンの領野普遍的・特異的な形態特徴の抽出:上記AAVベクターをPVCreマウスの大脳皮質の各領野に注入し、それぞれの領野において上記解析を実施することにより、PVニューロンの領野普遍的・特異的な形態特徴の抽出に着手した。また、疾患モデルマウスに対しても同様の実験を試みている。
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