研究実績の概要 |
記憶・学習に重要な海馬の歯状回では、成体期までニューロンの新生が継続する特徴が有る。しかしながらこの成体期ニューロン新生がいつ・どこから産まれた神経幹細胞によってもたらされるかは不明である。この神経幹細胞の所在を調べるべく、その誕生地として予想される海馬背側部および腹側部を同時に標識し、いずれの領域由来の神経幹細胞が成体期ニューロン新生を行っているかを子宮内電気穿孔法によって行った。 この際、背側および腹側の神経幹細胞を区別して標識するために、それぞれの領域にて特異的に発現が認められるプロモーターを用いた。各プロモーター領域の下流に異なるシステムが付加(Cre-loxシステムおよびVcre-Vloxシステム)されることによって、色による識別を行うことが可能となる(PB-Hopx-Cre, PB-CAG-loxP-polyA-loxP-GFP, PB-Gli-VCre, PB-CAG-VloxP-polyA-VloxP-BFP)。これらを用いたE11.5での子宮内電気穿孔法を行ったが、途中で胎仔が消失するなどして、現在のところ予定通りの試料が得られていない。 コンストラクトの総量過多である可能性を考慮し、各プロモーター領域の下流に異なる蛍光タンパク質を付加されたコンストラクトを新たに作製することにした。背側領域標識はPB-Hopx-RFP, 腹側領域標識はPB-Gli-GFPをそれぞれ設計・作製した。この作製は順調に進んだ。 これらの完成したコンストラクトを用いて、E11.5のマウス胚への子宮内電気穿孔法を試みている最中であり、電気穿孔の細かな条件やコンストラクトの品質などの検討を行いながら、予定通りに試料が得られるように継続して行っている状況である。
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