研究課題/領域番号 |
20K07234
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
長野 護 近畿大学, 医学部, 准教授 (80155960)
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研究分担者 |
鯉沼 聡 近畿大学, 医学部, 講師 (10340770)
筋野 貢 近畿大学, 医学部, 助教 (30460843) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 視交叉上核 / 脱同期 / BMAL1 |
研究実績の概要 |
我々は以前にマウス(C57BL/6J)で明暗サイクルを10時間後退させ、詳細に視交叉上核の水平断切片でPer1遺伝子発現パターンを観察し、視交叉上核のコア領域とシェル領域間の脱同期に加えて、シェル領域においてPer1遺伝子発現のピークが吻側部は尾側部より速く後退することを報告した。今回、Per2:: lucノックインマウス(Per2プロモーターの制御下でルシフェラーゼ遺伝子を発現するコンス トラクトを導入したマウス)を用いて、明暗サイクルの10時間後退1日目と2日目において視交叉上核のスライス培養を作成し発光リズムを観察した結果、コア領域とシェル領域間の脱同期を認められたが、シェル領域内において明確な脱同期を確認することはできなかった。そこで、明暗サイクルを後退させた時よりも再同期に期間を要する明暗サイクルを前進させてシェル領域内において脱同期が生じるかを検討した。まず、マウス(C57BL/6J)で明暗サイクルを8時間前進させ、視交叉上核の水平断切片でPer1遺伝子発現をin situ hybridization法を用いて経時的に観察した結果、明暗サイクルを後退させて時よりも明確なシェル領域内における脱同期が観察された。現在、Per2:: lucノックインマウスによる検証を進めている。 概日リズムの減退が時差ぼけの持続時間に及ぼす影響を調べるため、時計遺伝子BMAL1のdominant negative formを発現するトランスジェニックラットを作成して検討した結果、このトランスジェニックラットは、対照群よりも早くlight off直後に活動的になった。また、明暗周期を急激に変化させた時に、このトランスジェニックラットは対照群に比べ、新しい明暗周期への同調が早いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、マウス脳の前頭断と水平断切片を用いて視交叉上核における新たな発現細胞を同定しており、視交叉上核おける細胞分布マップの作成は進んでいる。また、Cre/loxPシステムを用いての新たなマウス作成も進んでいる。しかし、2020年度にコロナ禍などによる動物飼育について影響が生じた等により動物を用いての検討および脳スラ イスによる実験の遅れをカバーするまでには至っておらず、まだ全体としては少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在は、動物飼育も順調で動物を用いての検討および脳スライスによる実験の回数も増え、2022年度も研究分担者と共に動物を用いての形態学的検討や脳スライス実験また、Cre/loxPシステムを用いての新たなマウス作成を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は順調に研究が進んだが、2020年度のコロナ禍等の影響により当初の計画より動物実験が進まなかったために生じた余剰金を使い切るまでには至っていなかった。 2022年度は、動物の購入数および購入回数を増やし動物実験を速やかに進めてと共にCre/loxPシステムを用いての新たなマウス作成を進めていく。
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