研究課題/領域番号 |
20K07235
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
土井 佳子 福岡大学, 医学部, 講師 (10341538)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 赤血球 |
研究実績の概要 |
自己免疫性甲状腺疾患(AITD)感受性遺伝子として同定したZFAT(zinc-finger gene in AITD susceptibility region / zinc-finger with AT-hook) の骨髄での赤血球分化における機能的役割とその機能発現のための分子機構の解明を目指して、コンディショナルZFAT欠失マウス骨髄由来赤血球系前駆細胞の発現解析とクロマチン構造との関連性、および細胞株を用いたZFAT発現抑制時の発現解析を中心に解析を進めた。 タモキシフェン投与による時期特異的にZFATを欠失したコンディショナルZFAT欠失マウスの表現型解析では、骨髄由来赤血球系前駆細胞において細胞数の変化が示され、赤血球分化過程での機能が示唆されている。骨髄由来赤血球系前駆細胞のクロマチンアクセシビリティーを網羅的に調べるためにAssay for Transposase-Accessible Chromatin(ATAC)-seq解析を試みた。セルソーターにより分離した骨髄由来赤血球系前駆細胞を高活性改変型Tn5トランスポゼースを用いてタグの付加およびDNAの断片化を行い、ゲノムワイドにクロマチン構造を解析した。オープンクロマチン領域の同定、さらにChIP-seq解析およびRNA-seq解析結果との統合によりゲノム結合領域と発現変動との関連性の検討を進めている。また、ZFAT発現抑制時におけるK562細胞のRNA-seq解析等を行った。RNA-seq解析のシークエンスのアライメントおよびノーマライゼーションデータから、発現変動遺伝子の同定を行った。赤血球関連およびその他血球関連の発現変動が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ATAC-seq解析のための細胞のソーティングとライブラリー調整の検討、およびコンディショナルZFAT欠失マウスとコントロールマウスの骨髄由来細胞のex vivo分化培養予備実験と解析に時間を要した。引き続き、研究期間延長によりZFATの骨髄赤血球系分化における分子機構の解明につなげる。
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今後の研究の推進方策 |
マウス骨髄由来赤血球系前駆細胞におけるZFATの機能解析および機能発現のための分子機構の解明を目指して、ZFATを欠失させた時の赤血球分化段階におけるフローサイトメトリー解析等による追加の表現型解析、および得られている各種RNA-seq解析、ChIP-seq解析およびATAC-seq解析の解析データの統合により分子機構について検討する。また、コンディショナルZFAT欠失マウスを対象にマウス骨髄由来細胞のうち赤血球系前駆細胞を分離後、ex vivoにて赤芽球系細胞へ分化培養させ、ZFAT発現抑制時の影響を検討する。さらに細胞株における赤芽球系細胞への分化誘導時において、ZFAT発現抑制と分化過程のタイミングを検討しながら、経時的なZFATの機能の関連性を検討し、分子機構の解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
ATAC-seq解析のための細胞のソーティングおよびライブラリー調整の検討等に時間を要したことと、ATAC-seq解析のシークエンス等の価格が下がり、費用が抑えられたことから、支出が減少したため、次年度の計画の消耗品費として、細胞培養、遺伝子解析およびタンパク質解析関連の試薬等に追加して使用することを予定している。
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