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2021 年度 実施状況報告書

骨格筋再生における筋芽細胞膜融合の責任因子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 20K07244
研究機関名古屋大学

研究代表者

亀高 諭  名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (10303950)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード筋芽細胞融合 / C2C12細胞 / 膜融合 / コレステロール / 骨格筋 / 筋再生
研究実績の概要

損傷した骨格筋が再生する過程において、筋衛星細胞が筋分化し筋芽細胞に変化したのち、筋芽細胞同士の融合を経て多核の筋細胞が形成される。この筋芽細胞融合現象の分子機序を明らかにし、筋再生を補助あるいは促進する薬剤シーズを探索する目的で、これまでに当研究室において新規細胞融合アッセイ系(HiMy)を構築した。マウス筋芽細胞株C2C12細胞およびスプリットルシフェラーゼを用いた本細胞融合系を用いて、様々な化合物スクリーニングを開始したところ、メバロノラクトンが細胞融合促進効果を示すことが示唆された。メバロノラクトンは細胞内でメバロン酸に変換され、コレステロールの生合成を増加させることが示唆されることから、メチルβサイクロデキストリン処理により細胞内コレステロール量を低下させたところ、メバロノラクトンによる細胞融合促進効果が解消されたことから、メバロノラクトンがコレステロールの生合成量を高めることで筋芽細胞融合を促進することが示唆された。
さらに、これまでに行ったRab small GTPaseの網羅的ノックダウンスクリーニングにより、新たにノックダウンにより筋芽細胞融合に促進的に効果をもたらすRabを見出した。これらのRabをCRISPR-cas9系を用いたゲノム編集技術によりノックアウト細胞を作成し、ノックアウト細胞をベースとしたHiMyアッセイ系を構築する予定である。これらの細胞を用いて、筋芽細胞融合、筋管形成の過程を詳細に検討するとともに、細胞融合に関わる分子の網羅的探索を行うことが可能になる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

筋芽細胞融合系の一時的な不調(細胞の保存状態の悪化によるダメージ)および、COVID-19禍における試薬、実験機材の輸送のトラブルのため、発光基質の枯渇が起こったため一時的に実験が滞った。しかし、その間もアッセイ系をさらに改良することができたため今後は後れを挽回できると考えている。

今後の研究の推進方策

既に、スクリーニングに供するためのリポジショニング化合物の準備は整っている。これらの化合物について、筋芽細胞への毒性試験等基本的なデータを集めたのち、筋芽細胞融合にどのような影響があるかを検討する。筋芽細胞融合に促進的な効果のある分子が見出された際には、化合物の固層化を行い、結合蛋白質の探索を生化学的に行う。
また、本アッセイ系を用いてこれまでに行ったRab small GTPaseの網羅的ノックダウンスクリーニングにより、特定のRabのノックダウンにより筋芽細胞融合が促進することを見出している。これらの知見をもとに、CRISPR-cas9システムを用いたノックアウト細胞を作成し、それらの細胞における細胞融合の速度を検討する。ノックダウンと同様の表現型が得られた際には、それらの細胞株の細胞膜表面のタンパク質を網羅的に探索し、野生型細胞と比較することで、細胞膜融合に関わる分子の探索を行う。
これらの研究が予定通り進まなかった場合には、これまでに見出したコレステロール生合成経路と筋芽細胞融合に焦点を当てさらに解析を進める。

次年度使用額が生じた理由

購入予定であった細胞培養用のプラスチックウェアが全国的な欠品状態であったため入荷を待っていたため使用できなかった。次年度予算と合わせ既に購入予定はめどが立っており、研究の遂行に問題はなく、計画通り行われる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Radiosensitization Effect of Gold Nanoparticles on Plasmid DNA Damage Induced by Therapeutic MV X-rays2022

    • 著者名/発表者名
      Yogo Katsunori、Misawa Masaki、Shimizu Hidetoshi、Kitagawa Tomoki、Hirayama Ryoichi、Ishiyama Hiromichi、Yasuda Hiroshi、Kametaka Satoshi、Takami Seiichi
    • 雑誌名

      Nanomaterials

      巻: 12 ページ: 771~771

    • DOI

      10.3390/nano12050771

    • 査読あり
  • [学会発表] デキサメタゾン誘発性骨格筋萎縮回復モデルの確立とアディポネクチンシグナルの影響の検討2022

    • 著者名/発表者名
      迫直輝、亀高諭
    • 学会等名
      第127回日本解剖学会総会・全国学術集会
  • [学会発表] Spg12/Reticulon2の小胞体膜局在化機構の解析2021

    • 著者名/発表者名
      亀高諭
    • 学会等名
      第73回日本細胞生物学会大会

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公開日: 2022-12-28  

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