下垂体前葉細胞の機能は、視床下部や末梢臓器からのホルモンにより調節されている。さらに、前葉内での細胞間相互作用を介した細胞機能調節メカニズムも重要である。本研究は、局所的な低酸素が前葉細胞の機能を調節する新しい機構を提唱する。さらに、下垂体腫瘍は原発性脳腫瘍の約15%を占める頻度の高い疾患であるが、薬剤で制御できる腫瘍は限られている。多くの腫瘍組織は腫瘍細胞の代謝活動の亢進などにより組織内で酸素濃度勾配が生じ、低酸素シグナルが血管新生や腫瘍細胞の増殖を促進することが知られている。本研究を発展させることで、下垂体腫瘍における新たな創薬の標的の発掘と治療介入のポイントにつながることが期待される。
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