本研究では、小胞体に発現する膜輸送タンパク質(ER-ATPase)の生理機能の解明を目的とした。ER-ATPase過剰発現細胞では小胞体のK+輸送活性が有意に増加した。ER-ATPaseノックダウン細胞では小胞体内Ca2+レベルが有意に増加した。ER-ATPaseをノックダウンすることで細胞増殖能が有意に低下し、ER-ATPaseの発現レスキューにより増殖能は有意に回復した。またER-ATPaseノックダウン細胞において小胞体ストレスマーカーであるGRP78の発現が有意に増加した。以上より、ER-ATPaseは小胞体K+ポンプとして機能しており、小胞体Ca2+動態に重要であることが示唆された。
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