研究課題
ミトコンドリアは「エネルギー産生を担う均質なオルガネラ」という古典的概念から「代謝コミュニケーションにより高次機能を制御するオルガネラ」へと変貌してきた。ミトコンドリアの融合と分裂のバランスは、ミトコンドリアの形態・機能を維持する生命現象の根幹とであり、がん微小環境においてもダイナミックにミトコンドリア形態は変化するが、ミトコンドリア恒常性維持機構(ミトコンドリアダイナミクス)は、依然として不明な点が多い。我々は、脂質リン酸化酵素ミトコンドリア・フュージョン・アクティベーティング・キナーゼ1及び2(MFAK1/2)が、PPI産生を介してミトコンドリア融合を促進する事を見出した。MFAK1/2二重ノックダウンは、過剰なミトコンドリアの分裂と断片化を促進し、断片化ミトコンドリアの機能(膜電位)が著しく低下、及び、活性酸素(ROS)の蓄積が観察された。MFAK1/2二重ノックダウン細胞において、ミトコンドリア融合因子(Mitofusin1/2)、分裂因子(Drp1、Dynamin2)の発現レベルは変化しなかった。また、Mfnは正常にミトコンドリア融合部位に動員されるにも関わらず、ミトコンドリア融合は阻害されたことから、ミトコンドリア融合にはMFAK1/2代謝物PPIが必須である事が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
新規ミトコンドリア融合機構を見出しており、その破綻は重大なミトコンドリア機能低下を招く事から、細胞生理学的に重要な知見であると考えられる。
論文化に向け、さらに研究を加速させる。具体的には、新たに見出したミトコンドリア融合機構の分子メカニズムのより詳細な分子メカニズムを、RNA-seq、プロテオミクス解析を用いて明らかにする。
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Protein Expression and Purification
巻: 192 ページ: 106043~106043
10.1016/j.pep.2021.106043
Scientific Reports
巻: 11 ページ: -
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