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2021 年度 実施状況報告書

吸啜リズムを形成する神経回路網の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K07266
研究機関昭和大学

研究代表者

飯塚 眞喜人  昭和大学, 医学部, 准教授 (40274980)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードPhox2B / 吸啜 / 新生ラット / 脳幹-脊髄摘出標本
研究実績の概要

吸啜は乳児が母親から栄養を得るために不可欠なリズム運動である。しかし有効な誘発方法が無かったため、吸啜リズム形成回路網はブラックボックスであり、その理解は遅れている。脳幹領域の発生・分化に不可欠な転写因子としてPhox2b遺伝子が知られており、我々はPhox2b陽性ニューロンにチャネルロドプシンを発現させた遺伝子改変ラットを作成した。そして頭部背側から光照射すると口のリズム運動が誘発されることを偶然発見し、このリズム運動が吸啜運動であること、脳幹-脊髄摘出標本においても機能していることを示した。本研究の目的はこの新しい誘発方法を用いて、①吸啜リズムに関連するニューロン群の脳幹内分布、②電気生理学的性質や伝達物質、③内因性リズム形成能、④同期活動におけるギャップ結合の関与、⑤拮抗筋間の交代性活動における抑制性シナプスの関与について調べ、吸啜リズム形成回路の全容を解明することである。
2021年度は②電気生理学的性質や伝達物質の検討を行った。孤束核に電極を刺入し、吸啜リズムと同期して発火する15個のニューロンから記録した。in situ hybridizationの結果、8ニューロンがPhox2b陽性であった。Phox2b陽性ニューロンと陰性ニューロンの静止膜電位は-48.1±4.2mVと-48.2±5.8mV、入力抵抗は904±239MΩと996±426MΩ、長径は22.3±5.8μmと16.3±3.1μm、短径は13.8±5.0μmと10.5±2.5μmとばらつきが大きく、いずれの指標も有意差は無かった。記録数が少なく伝達物質の同定はできなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年度の目標であった②電気生理学的性質や伝達物質について、ホールセル記録を行うことはできたが、記録した細胞数が少なく伝達物質の同定まではできなかった。

今後の研究の推進方策

2022年度は研究計画に従い③内因性リズム形成能、④同期活動におけるギャップ結合の関与、⑤拮抗筋間の交代性活動における抑制性シナプスの関与について調べ、吸啜リズム形成回路の全容を解明する。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍により学内学会への旅費が不要となった。コロナ禍によりラット繁殖数を減らす必要があり、当初の計画よりも薬品費用がかからなかった。2022年度はできる限り実験を行い、これらに必要な薬物、蛍光抗体等の購入に充てる。またこれまで定量的に行わなかった口の動作解析も行う予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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