研究課題/領域番号 |
20K07267
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
長谷 都 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (20450611)
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研究分担者 |
福島 篤 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (10442716)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 妊娠 / 出産 / 子育て / 海馬 / AMPA受容体 |
研究実績の概要 |
妊娠、出産、子育て後から長期間維持される、学習、記憶における行動変化において、経産ラットは、未経産ラットと比較してY迷路テストにおける空間学習にて良好な成績であったのは、海馬内のシナプスの機能の変化(シナプスの伝達効率の変化)に着目して、電気生理学的、生化学的手法を用いて解析を行った。 経産ラットは、未経産ラットと比較してAMPA受容体サブユニットGluR1の発現が多く、AMPA受容体を多く移行させることを、海馬CA1の単一細胞におけるパッチクランプ法を用いて明らかにしている。その詳細なメカニズムを明らかにするために、*iTRAQ法を用いて海馬内タンパク質の存在量を網羅的に比較したところ、Nogoが減少していることが示唆された。そこで、軸索伸長抑制因子であるNogoの発現をウエスタンブロットで確認したところ、経産ラットで発現が低いことが明らかとなった。 サンプル数を増やし確認したところ、再現性のある結果となった。その他タンパクの変動は、生化学的解析では、検出出来なかった。免疫組織学的解析では、Golgi染色により、樹状突起の形状、数(slice Golgi kit., Bioeno Tech LLC) を確認したが、有意な差は見られなかった。先行研究でも同じ実験を行っており、染色の状態に差があり、再現性の低い結果となった。 これらのことから、免疫組織学的解析および生化学的解析を残りの期間で遂行出来る様、再度研究計画を再考した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
妊娠、出産、子育て後から長期間維持される、学習、記憶における行動変化において、経産ラットは、未経産ラットと比較してY迷路テストにおける空間学習にて良好な成績であったのは、海馬内のシナプスの機能の変化(シナプスの伝達効率の変化)が関与しているという仮説を立て、電気生理学的、生化学的手法を用いて解析を行った。経産ラットは、未経産ラットと比較してAMPA受容体サブユニットGluR1の発現が多く、AMPA受容体を多く移行させることを、海馬CA1の単一細胞におけるパッチクランプ法を用いて明らかにした。軸索伸長抑制因子であるNogoの発現をウエスタンブロットで確認したところ、経産ラットで発現が低いことが明らかとなった。全体の計画の3分の2が終了しており。おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
再現性の低い結果となった,免疫組織学的解析を行う(染色の状態差があったため)。Golgi染色により、樹状突起の形状、数(slice Golgi kit., Bioeno Tech LLC) と、オリゴデンドロサイト(成熟細胞マーカー、Olig 2)の数を観察する。siNogo、siNogoRまたはAAV9-Nogo、AAV9-NogoR投与による海馬機能への影響を見て行くことを、今後の研究とする。ラット腹側海馬(Br:-3.6, L:-3.0, 3.0.V:7.2mm)に、AAV9(中枢神経に顕著に感染が認められる)による、NogoもしくはNogo受容体に対するRNAi (例えばsiNgR; Zeng et al., 2017)を発現させるため(対照群はscRNA)脳内投与する(Furuta et al.,2001, 2002, 2010 )。 未経産子育て無し群の海馬機能が、経産子育て群同様の変化(空間学習の成績が良好かつAMPA受容体のサブユニットの構成の変化)を示すのか、逆に、AAV9によりNogoやNogo受容体をover expressionさせた経産子育て群の海馬機能が、未経産子育て無し群同様の変化、つまり空間学習の成績およびAMPA受容体のサブユニットの構成の変化がキャンセルされるか否かを行動学的、電気生理学的、免疫組織学的、生化学的な手法にて解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の国内外の感染状況から,国内学会、国際学会参加を控えたことで参加費、旅費の使用が無くなった。また、在宅勤務の期間は、実験が一時的に停止し、2ヶ月程度ではあるがその間使用予定であった物品購入や、実験そのものが今年度にシフトしたことより、次年度使用額が生じた。
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