研究課題/領域番号 |
20K07270
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
山田 順子 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (30334965)
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研究分担者 |
小枝 周平 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (00455734)
冨山 誠彦 弘前大学, 医学研究科, 教授 (40311542)
佐藤 ちひろ 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (70757468)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 母子分離マウス / ネグレクト / 運動介入 / 社会的ストレス / 社会的孤立 |
研究実績の概要 |
ネグレクトなどのモデルとなる母子分離ストレスモデル(MS)を作出し、MSによる影響、成長後に種類のストレスを加えた場合およびそれに運動させた場合の効果を検討した。 方法:ストレスは離乳後のマウスを単独で飼育する社会的孤立ストレス(SI)、離乳後のマウスを毎日異なる相手と飼育する社会的不安定ストレス(SIS)とした。行動評価は、スプラッシュテストによるセルフケア、報酬に対する動機付けの評価、Sucrose preference test による報酬に対する感受性評価、openfieled test による不安様行動、自発的活動性、social interaction test による社会性、社会的新奇嗜好性の評価、forced swim test による鬱様行動(絶望状態)評価を行った。運動介入は生後24日~77日の54日間回転ケージで自発運動を行わせた。 結果:MS群はセルフケアの指標となるSplash testにより有意なグルーミング時間の減少が確認された。一方ストレス負荷群に関しては、MS+SI、MS+SISでは予想に反し、多動の傾向が見られた。さらに母子分離を行っていない正常飼育(コントロール群)にSI,SISを加えるものを追加解析を行った。すべての群で、ストレス負荷による影響をコルチコステロン濃度、ΔFOSBによる神経細胞の活動状況を解析したところ、MS群にSI,SISを加えたものより単独でSI,SISを行った群のほうがストレス反応が高いという結果になった。つまり、発達期にネグレクトを受けた個体の方が追加のストレスに対して抵抗性があるという事を意味している。現在、あらたに母子分離ストレス期間を長時間にするモデルを検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初シナプスレベルでの解析を行う予定であったが母子分離による影響が予想に反し大きな違いがみられず、さらに追加ストレスをかけても大きな違いがみられなかったため、行動、免疫組織化学、ELISAによる解析にとどめている。しかし、単独で社会的孤立、社会的不安定ストレスを加えた群に興味深い変化が見られるため、予定を変更して社会的孤立群の解析を行うことにした。また、これまでの母子分離群の母子分離時間を変更し(3時間から12時間に変更)この影響を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
通常母子分離の解析は終了した、現在長時間母子分離(12時間)を行い解析を行っている。また、雌雄差解析も行っている。これらに関するデータ解析は10月くらいまでに終了予定でこれらをまとめて論文投稿する。 さらに、本課題で新たに判明した社会的孤立ストレスの身体への影響も、昨今のコロナによるヒトの社会的孤立にも関係する重要な課題であると考えられ、次年度新規課題を申請するにあたり、母子分離と同様SIに関しても研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症の影響で学内への大学院生の立ち入りが制限され、実験の一部に遅れが生じたため、マウス購入費などが減額になった。 差額分及び今年度はマウス購入費、維持管理費、消耗品、学会参加費に充てる。
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