研究実績の概要 |
ネグレクトなどのモデルとなる母子分離ストレスモデル(MS)を作出し、MSによる影響、成長後に種類のストレスを加えた場合およびそれに運動させた場合の効果を検討した。 方法:雌雄それぞれ①コントロール群(以下CTL群)②6時間母子分離群(以下6hMS群)③12時間母子分離群(以下12hMS群)の6群にランダムに分類した。今年度は主に雄のデータと比較するため雌のデータを取得た。生後21日目に離乳した後、生後60日から以下6つの行動テストを実施した。①セルフケアや動機づけを評価するSplash test。②不安状態や活動性を評価するOpen field test。③不安状態を評価するElevated plus maze test。④抑うつ状態を評価するForced swim test。認知機能(記憶)を評価する⑤Eight-arm radial maze testと⑥Barnes maze test。生後112日目以降に採血および脳標本摘出を行い、コルチコステロン値によるストレス評価を実施した。 雌マウスにおける母子分離時間による影響:雄マウスに比べ雌マウスでは母子分離時間による違いは少なかった。6hMS群が多動傾向(Open field test 総移動距離 CTLvs6hMS p<0.05,6hMS vs12hMS p<0.05)を示し、12hMS群では抑うつ状態(Forced swim test 不動時間,CTLvs12hMS p<0.05)を示す点は雄マウスと同様の結果であった。 成長に応じた体重の増加はコントロールと比較しMSは増加は減少しており、これは雄に顕著であった。 長時間の母子分離は多動行動や強い抑うつ状態、さらなる記憶機能の低下を引き起こす可能性が示唆された。
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