現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
イオンチャネルは細胞内外のイオン濃度差を関知し細胞膜を横切るイオン流を制御して細胞の恒常性を維持する。その一方、イオン濃度勾配がイオンチャネルの数を変化させるような仕組みは存在しない。しかしながら、イオンチャネルは単にゲーティングを介して細胞内外のイオン環境を保つだけでなく、チャネルの数そのものを変化させ、環境の変化に対応している可能性が示すデータを得た。すなわち、ラット心室筋を単離し培養する際に培養液のカリウム(K+)濃度を変化させて24時間後にKCNJ2 (Kir2.1)チャネルのmRNAの発現を評価した。細胞外K+濃度が高いほど、KCNJ2チャネルの発現が増え、その結果、外向き電流の大きさが変化する可能性を示すものである。細胞外K+濃度を上昇させるとIK1チャネルのコンダクタンスが増し、外向き電流は増大することが知られているが、イオンチャネルの発現そのものが変化することを示した報告はないため、本研究は新知見である。更に、更に検討を進め細胞外K+の増加がKCNJ2チャネル蛋白質を増やすか否かを今後、検討を加えていきたい。本結果の一部は、以下の論文で2021年に報告した。 WangP, Zhu X, Wei M, Liu Y, Yoshimura K, Zheng M, Liu G, Kume S, Kurokawa T, OnoK Disruptionof asparagine-linked glycosylation to rescue and alter gating of theNav1.5-Na+ channel Heartand Vessels 36: 589-596, 2021
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