研究課題
細胞膜上のシンタキシンを長時間に渡り一分子蛍光イメージングでトラッキングする系を確立する。そのために、研究代表者らが開発した連続的かつ持続的な蛍光標識を可能にするDeQODEタグ技術を採用する。DeQODEタグ技術では、細胞内に可視化対象の分子との融合タンパク質として発現させた抗消光団一本鎖抗体(DeQODEタグ)に、消光団であるジニトロフェニル基(DNP)と 蛍光物質を共有結合させた化合物(QODEプローブ)が結合した際にQODEプローブの蛍光消光が解除され、初めて蛍光性となる。蛍光性となった蛍光物質は励起光により数秒後に退色するが、退色したQODEプローブがDeQODEタグから解離し、退色していないQODEプローブがDeQODEタグに再度結合するサイクルを維持することで常に観察視野内に蛍光輝点が存在する状態になり、長時間に渡るの一分子蛍光イメージングが可能になる。全反射顕微鏡システムを用いてDeQODEタグとシンタキシンの融合タンパク質を発現させたCOS7細胞で一分子トラッキングをテストした。細胞外にQODEプローブとして蛍光色素のシリコンローダミンにDNPを結合させた6SiR-DNPを添加し、シンタキシンが蛍光標識され、蛍光輝点として観察できることが確認できた。また、一分子トラッキングに適した輝点密度となるように細胞外の6SiR-DNP濃度を調整することによって、バックグランド蛍光に対して6SiR-DNPの蛍光輝点像が十分なコントラストとなる励起光の強度、EM-CCDカメラの撮影条件を最適化できた。
2: おおむね順調に進展している
本年度に計画していた研究内容を滞りなく遂行することができた
本年度に構築した長時間1分子蛍光イメージング系を培養神経細胞に適用して、シナプス機能とシンタキシンのシナプスでの時空間ダイナミクスとの関係の解明を進める。
一分子イメージング条件の最適化が順調に進んだため、当初計画より消耗品費の執行が少なかった。次年度に繰り越した額は神経細胞での一分子蛍光イメージングの条件の最適化を充実させるために光学部品などの消耗品費に充当する。
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eLife
巻: 9 ページ: e57544
10.7554/eLife.57544.
Results in Optics
巻: 1 ページ: 100019
10.1016/j.rio.2020.100019