社会や環境より受ける過度のストレスは前頭前皮質神経細胞の形態的萎縮を組織学的基盤とした認知情動変容を招く。しかし、樹状突起やシナプス構造の萎縮を担う分子細胞生物学的な機序は殆ど不明である。マウスの社会挫折ストレスを用いて神経細胞の樹状突起やシナプスを超解像顕微鏡や三次元電子顕微鏡で可視化することにより、ストレスによる樹状突起やシナプスの構造萎縮にミトコンドリアが関わることを見出した。シナプス分画特異的プロテオミクス解析により中央代謝系に関わる分子の発現変動を見出し、中央代謝系を担う分子の前頭前皮質特異的な発現操作によりストレスによるシナプス構造退縮やうつ様行動が抑制できることが分かった。
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